シロアリ駆除はスプレー缶で行う事が出来る?

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Researcher

研究者プロフィール
田口 正訓

研究員 2007年入社

埼玉営業所テクニカルチーム

大学では在来草本植物の研究に携わり、自然環境と生物の相互関係を学ぶ。 2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。 休日も生き物や植物の写真撮影に勤しむ。

interview

いよいよ本格的に暑い時期になりました。今年は一段と暑い日々が続いております。

暑い時期は虫が主役。真夏はセミやカブトムシなど、様々な昆虫が発生します。私は昆虫が大好きなので、大歓迎ですが(ヒトスジシマカとクロゴキブリは例外)、虫嫌いな人は多い。だからこそ、ホームセンターやドラックストアでは、専用コーナーを設けて、この時期に害虫駆除製品が並びます。虫よけスプレー、蚊取り線香、スプレー等々。

先日、ホームセンターに行って、害虫駆除コーナーを見てきました。やはり、代表的な害虫、蚊やゴキブリ関連の商品は多いです。ダンゴムシ、クロアリ、ムカデ等もあります。シロアリはどうでしょうか?シロアリ専用のスプレー剤は1種類のみ販売されていました。では、その市販のスプレー剤でシロアリを完璧に駆除出来るのか?一緒に考えてみましょう。

①市販のスプレー剤のメリット

市販のスプレー剤を使用した時のメリットは、やはり経済性でしょう。一般的なシロアリ防除工事にかかる費用は、㎡単価2000〜2800円ですから、それだけでスプレー剤1本より高くなってしまうわけです。

それだったら、スプレー剤で駆除出来たらいいなって思いませんか?

しかも、スプレー剤の有効成分には、プロが使用する薬剤と同じ成分が含まれています。手軽に、しかも費用も抑えられて駆除出来れば一石二鳥ですよね。

②市販のスプレー剤のデメリット

次はスプレー剤のデメリットを考えていきましょう。デメリットはやはり、スプレー剤1本では、限られた範囲しか駆除出来ない事です。戸建て住宅の、床下全面施工はスプレー剤1本では到底出来ません。そして、再び食害を受けても、保証がない事。

さらに、ただ闇雲にスプレー剤をかけても、食害箇所の奥や、床下の土壌にシロアリが逃げてしまえば、スプレー剤がシロアリの体に付着する事がないので、再発する可能性が極めて高いのです。

③プロの視点で見る、スプレー剤では駆除しきれない理由

先日、玄関の框に被害がある物件を訪問したのですが、お客様が「市販のスプレー剤で駆除したけど、被害が広がっていった」と仰っていました。

玄関框がボロボロに

お話しを伺うと、「ゴキブリ用のスプレー剤を何度も噴霧した」との事。

シロアリはゴキブリに近縁です。ゴキブリ用のスプレー剤をシロアリに向けて噴霧すれば、効きます。では、なぜ被害が拡大したのでしょうか?

実は、一般的な殺虫スプレー剤で多く使用されている薬剤成分、ピレスロイド系には、忌避性があります。忌避性とは、その成分を駆除対象の昆虫が感じ取って嫌がり逃げてしまう事。つまり、被害の表面上にいるシロアリに薬剤が命中すれば、退治できますが、その奥側にいるシロアリには、薬剤を感じ取られて、逃げてしまう可能性があるのです。そして、逃げたシロアリが薬剤がかかっていない場所に移動し、再度他所からの侵入を試みたら…。

シロアリは土があればどこにでも生息している生き物です。自然豊かな山間部に限らず、東京23区の大都会でも被害が発生します。被害のある場所にスプレー剤1本で処理して、そこで止まれば確かにコスパ最強ですが、床下や周囲の土壌にシロアリが生き残っている可能性が高いです。

やはり、シロアリ駆除は、プロが薬剤処理する事に意義があると思うのです。

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