自分でシロアリ対策をして、被害から家を予防する方法

  • DIY
  • シロアリ駆除

Researcher

研究者プロフィール
木村 健人

研究員 2009年入社

経営企画部webマーケティング課専任課長

シロアリ・木材腐朽菌に対する防蟻・防腐薬剤性能評価、木材保存について在学中に携わる。 2009年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。趣味はシロアリ飼育。

interview

シロアリから私たちの家を守る「シロアリ対策」という考え方は、家の性能や耐久性を維持する上で非常に大切です。

しかしながら、現状は多くの住宅がシロアリから無防備な状態のまま放置されています。私たちが知らないうちにシロアリ被害を受け続けてているのです。シロアリからの被害を防止するためには、この「無防備」な状態を作らず、日々の変化に目を向けることがシロアリ対策への1番の近道といえます。

そこで今回は、私たちが日々気をつけるポイントと、プロ監修の自分でできるシロアリ対策の方法について詳しく解説していきます。

日々の自宅のお手入れがシロアリ対策に繋がる

一般的にシロアリ対策といえば、薬剤を散布してお家を守るイメージがあると思います。薬剤処理も大切なシロアリ対策ですが、実はもっと根本的な対策があることはシロアリ対策のプロもなかなか教えてくれません。ではそれは一体何でしょう。

それは、「日々の自宅のお手入れこそがシロアリ対策そのものなのだ」という考え方です。シロアリは、人間が放置した場所、普段見ない場所を極端に好みます。

つまり、日々のお手入れが行き届いていれば、シロアリはそこに寄り付きにくいのです。このポイントこそが私たちが皆さんへ真っ先にお伝えしたいシロアリ対策です。

では、まずはじめに普段の生活でできるシロアリ対策をおさらいしてみましょう。

建物外周・庭のシロアリ対策

シロアリのエサとなる木材を放置しない

人間が住む住宅にはシロアリが好む木材がふんだんに使用されています。シロアリが害虫として恐れられているのは、その木材を食い荒らすためです。お庭や建物外周の木材も同様にシロアリの被害を受けます。つまり、シロアリの餌となる木材や枯木を敷地から撤去することが根本的な対策となります。

庭や建物外周から無くすべきもの

木杭

生け垣に設置された木杭は5年も経てば根が張って樹木も自立しているので撤去して問題ありません。

切り株、枯死した木 

シロアリは死んだ樹木をエサとするため、切り株などはシロアリの巣が定着する1番の原因になります。大きな切り株は個人で撤去するのが困難なので、専門業者に依頼して撤去するのが望ましいです。

放置された廃材

放置された廃材がシロアリの巣となるパターンが増加しています。基本的に全て撤去するのが望ましいです。

コンクリートの木枠

駐車場の土間コンクリートの端に木の型枠が残されている場合はそこにシロアリが付きます。新築時に撤去するのが望ましいです。

防蟻処理されていない枕木

枕木は土に埋めて使われるため、シロアリが非常に付きやすい木製エクステリアです。防腐防蟻処理が切断面全てに処理されたモノ以外は撤去することが望ましいです。

ダンボールや合板も注意

木材以外でも、紙やダンボールなど木材が原料のものはシロアリの餌となります。ダンボールなどを放置している場合も忘れず撤去しましょう。

処分できない木製品は地面に置かない

どうしても処分できない木製エクステリアなどがある場合は、地面に接して置くことはせずにコンクリートブロックなどを敷いた上に設置しましょう。シロアリは地中から木材に侵入するため、地面から遠ざけることでそのルートを遮断することができます。濡れ縁やウッドデッキの束柱にブロックが噛ませてあるのはそのためなのです。

壁面に影を作らない・モノを置かない

シロアリのエサを撤去することに続いて、こちらも最重要なシロアリ対策です。冒頭でお話ししたとおり、シロアリは人が放置した場所を極端に好みます。なぜなら、シロアリは「湿気」と「暗闇」に固執する生き物だからです。

確かにそのような場所はジメジメと湿り、暗く閉ざされた場所となりがちで、いかにも生き物が住処としそうな雰囲気が出ていますよね。ですから、このような場所を作らないことがシロアリ対策には欠かせません。

建物周囲に高湿度・暗闇を作らない対策

壁面に物置を設置しない、荷物を放置しない

壁沿いギリギリに設置した物置や荷物は、その裏側が高湿度・暗闇の環境となります。極力壁沿いに置くことなく、風を流して乾燥を心がけます。

基礎通気孔を塞がない

基礎に格子状の窓が設置されている住宅の場合、その窓を塞がないことが大切です。荷物やプランターで塞いでしまうと、床下の空気が滞り床下が高湿度の環境となってしまいます。

雑草や植栽で基礎を覆わない

植物で基礎や外壁が覆われてしまうと、その中がどうなっているか確認のしようがありません。シロアリ予防的には建物に接した植栽は避けるのがベターです。

化粧モルタル・基礎のタイル張りは怖い

シロアリの観点からすると基礎の化粧モルタルや化粧タイルは非常に怖い仕上げです。どちらも基礎の表面に仕上げとして貼り付けるもので、経年劣化で基礎と化粧材の間に隙間が生じます。その隙間はシロアリの侵入ポイントとなるため、化粧材が貼られている場合はプロによる診断が不可欠です。

シロアリ対策のプロが薦める建物外周の仕様

シロアリ対策・予防の観点で考える建物外周の仕様は、防草シート+砂利です。これは、雑草の予防としての効果はもちろん、のちのちのシロアリ対策にも有利に働くからです。

土間コンクリート仕様でも雑草が出る心配は無くなりますが、地面が安定するので物置や荷物を設置しやすくなったり、ベイト工法や外周注入処理など建物外周で行うプロのシロアリ対策ができなくなる、といったシロアリ対策的なデメリットがあります。

防草シート+砂利土間コンクリート
雑草対策
シロアリ工事(ベイト工法等)

防草シート+砂利はより安価で建物周りの環境を良くすることができるため、最優先でおすすめしています。

基礎に土を盛るのは危険

基礎ぎわにレンガで枠を作り基礎を土で覆って花壇のようにしてしまうのは非常に危険な行為です。基礎と外壁の継ぎ目が土で覆われていると、そこからシロアリが容易に建物内部へと侵入してしまいます。自ら自宅にシロアリを招き入れているようなものなので、絶対にやらないようにしましょう。

お部屋・室内のシロアリ対策

玄関、浴室は常に乾燥させる

玄関と浴室はその用途から水分が溜まりやすくシロアリが好んで入ってくる場所となります。

実際に戸建住宅で最も被害を受けやすい場所が玄関・浴室(タイル張り浴室)です。玄関と浴室は構造的に似ていて、昔から床下空間が無く地面と接した直張り構造となっています。地面と接しているためシロアリが直接上がってきやすく、被害が極めて多いのです。

そのため、玄関も浴室も常に乾燥した状態にするのがベストと言えるのです。

玄関・浴室のシロアリ対策

浴室は常に換気する

24時間換気が付いている場合はそのままで問題ありません。ない場合は浴室の換気扇を浴室使用時以外、常に回しておくようにします。

玄関は水を流さない

玄関を掃除するときに水を流さないようにします。月に1回程度なら気にする必要はありませんが、水を流したときは残った水分を拭き取って乾燥を徹底することが大切です。

玄関や勝手口は物置にせず、荷物を置かない

玄関や勝手口に普段使わないモノを放置していませんか?

  • 下駄箱の下に置いたまま数年放置されている
  • 壁際に沿って棚を置いている
  • 勝手口を使わないので土間が物置となっている

このような場所は、湿気と暗闇の悪条件となりがちで、この手のシロアリ被害を私も多く見てきました。構造上、玄関と勝手口はシロアリが入って来やすい場所ですので、荷物は置かず風通しのよい空間にしておくことが普段のシロアリ対策として大切です。

勝手口がある家の被害は極めて多い

経験上、土間付きの勝手口がある住宅はシロアリ被害が多いです。台所や浴室など水回りが近いことに加え、建物北側に位置することも多く湿気が溜まりがちなのがその理由だと思われます。そういった場所に何年も使わない荷物を放置することで更にシロアリの住心地が良い環境となってしまうのでしょう。

1階の和室・押入れの荷物に注意

1階に和室や押入れがある場合は荷物の置き方に注意が必要です。特に押入れは、床下からの湿気を合板たった一枚で受け止めているため高湿度になりやすく、シロアリ被害の温床になります。

また、和室の畳もシロアリに狙われやすく、畳の上のカーペットを剥がしたら畳がシロアリでボロボロになっていたり、タンスをどけたら畳がスカスカだったという現場も多く見てきました。

和室・押入れのシロアリ対策

押入れの襖は開けっ放しにする

シロアリ対策の観点からすると、ふすまは常に開けておくことが望ましいです。美観上閉めなければならない場合は、定期的に開放して風を通します。

押入れの下段は頻繁に出し入れするものを入れる

下段に普段出し入れしないものを置くと、シロアリが侵入してもなかなか気づけません。シロアリは下から上がってきますので、下段には掃除機やアイロンなど頻繁に使う道具を入れておきます。

和室の畳の上には畳が隠れるものを常設しない

カーペット、タンスなど畳が面で隠れるものは設置せず、畳を風通し良くし、変化が常に確認できるようにします。

壁の黒ずみやクロスの剥がれはシロアリの前兆

和室や押入れに限らず、壁のクロスが黒ずんだり剥がれたりする場合は、壁内の湿度が上がっている可能性が高いです。壁の高湿度はシロアリ被害を併発することが多いため、放置せずに原因を調査してもらいましょう。

日頃のお手入れで変化に気づく癖をつける

ここまで説明した日頃のシロアリ対策を心がければ、シロアリが住み着きづらくなり良好な環境となるのは間違いありません。そして、日頃から建物に目を向けていれば、ちょっとした変化に気づきやすくなるはずです。

  • カビの臭い
  • 壁の変色や穴あき
  • 土の付着(※)

このような僅かな変化はシロアリとの関連性が疑われます。

建物の外周にモノを放置したり、荷物を1年以上置きっぱなしにせず、日頃から建物の様々な場所に気を配り清潔を心がけるようにしましょう。

※シロアリが建物に入るとき、蟻土(ぎど)と呼ばれる土を一緒に運ぶ習性があります

しかし、日々のお手入れだけでは100%とは言えない

ここまでご紹介した日々のお手入れをすれば、シロアリにとって侵入しにくい環境が整います。自宅がシロアリの被害に遭うリスクも、何もしていない住宅と比較して小さくなるでしょう。

ただ、それだけで100%のシロアリ対策になるかというと必ずしもそうではありません。シロアリは地中を伝い床下から建物に侵入する術を持っているからです。日本の住宅には、新築時に防腐・防蟻処理を施すことが建築基準法により義務付けられています。

第49条 木造の外壁のうち、鉄網モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。

2 構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から1メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない

建築基準法施行令

つまり、いくらシロアリが入らないように努力をしたとしても、「絶対にシロアリが入らなくなりますよ」とは私たちにも言えないのです。

では、プロのシロアリ対策のようにきっちりと侵入を防ぐには何をすべきなのでしょうか。やはりそれは、プロと同じように床下に防蟻処理を施すことになります。

プロ直伝のDIY床下シロアリ対策

ここからは、私たちプロがDIYで床下にシロアリ対策をする場合、どのように行うか解説していきます。市販品でできるプロレベルのシロアリ対策を考えましたので、自分で建物自体の対策までやってみたいという方は参考にしてみてください。

注意
当方法は専門業者の作業をもとに作成した対策方法です。床下は危険を伴う作業となります。難しいと感じた場合は無理をせず、専門業者に依頼するようにしてください。なお、当方法により事故や怪我などをされた場合でも、当社は一切の責任を負いかねますので参考にされる場合は充分にご注意ください。

スケジュール

1日目調査道具の準備
2日目事前調査(床下など)
3日目工事道具の準備
4日目シロアリ対策工事

シロアリ対策工事は上記スケジュールで行われます。1日で完了すると思われがちですが、工事の前に準備や下調べなどやるべきことが沢山あるんですね。計4日間ほどで考えておきましょう。

1.床下の調査

下調べ無しに施工をすると、想定外のことが起きたり十分に施工ができなかったりと時間のロスに繋がります。

そのため、床下に薬剤を処理する前に床下の状態を確認しておきます。専門業者によるシロアリ防除でも施工前の調査は必ず実施しています。

床下調査の道具

床下に入ると全身が泥まみれ、ホコリまみれになるため、全身を覆える服装が必須となります。また、粉塵を吸い込まないために防塵マスクも必要です。

  • つなぎ(厚手のもの)
  • 防塵マスク
  • ゴーグル
  • ゴム手袋
  • 長靴
  • ライト(ヘッドライトまたはハンドライト)
  • 図面のコピー
  • ペン
  • デジカメ

床下調査の方法

一般的な住宅の場合、床下点検口や床下収納庫が1階に設置されています。設置されている主な場所は以下のとおりです。

床下点検口洗面所、階段下収納、トイレ、和室畳下、クローゼット内
床下収納庫キッチン、洗面所

もしも床下点検口が無い場合は作成する必要がありますので、ハウスメーカーやリフォーム会社、防蟻会社に作成を依頼しましょう。

1.点検口の周囲を汚れ対策する

床下から出る際、想像以上に汚れが体に付着するため汚れ対策で周囲を養生しておくことをおすすめします。

2.床下に入る準備→床下に入る

保護具を着用して床下に入ります。点検は2人組で行い、1人が床下点検、もう1人が点検口の開け閉めを行いましょう。点検口を開けたままだと、他の人が足を踏み外して怪我をしたりペットが誤って床下に入る危険性があります。また、ホコリが部屋に舞う恐れもあります。(※床下は高さ30〜40cmあれば進入することが可能です)

3.床下をくまなく点検する

床下で見るポイントは大きく分けて2つで、「シロアリの被害や兆候がないか」と「奥までくまなく進入することができるか」です。シロアリの被害は「地面から蟻道が伸びていないか」と「木材が傷んでいるところがないか」を見ることで把握することができます。

また、図面に事象や経路を書き込んで見落としを無くしましょう。

2.シロアリ対策用の道具を準備する 

次に、シロアリ対策工事で使う道具を準備します。服装は点検時に用意したものでOKです。

・白アリスーパー土壌用SC50
薬剤は市販で購入可能な中で、安全・高性能な薬剤を選びました。有効成分はフェニルピラゾール系のピリプロールを主成分とした薬剤で非忌避性や遅効性、伝播性、持続性をバランス良く持った薬剤です。土壌処理は、1階の床面積の約3倍(33㎡なら100L)使用します。自宅の1階が33㎡で上記土壌薬剤を使用する場合は、製品を2本購入しましょう(製品1L×50倍希釈=50Lのため)

・水性白アリスーパーPHI・20WE
木部処理は、平米数の0.3倍(33㎡なら10L)使用します。自宅1階が33㎡で上記木部薬剤を使用する場合は、製品1本を購入しましょう(製品1L×20倍希釈=20Lのため)

・噴霧器、ホース、タンク
噴霧器は業務用のものを使用します。20万円以上と高価なため、レンタルがおすすめです。

・養生用品(マスカーテープなど)
点検口から玄関までホースを通すため、養生シートなどを準備して汚れ対策をします。


手押し噴霧器での対策は困難

シロアリ対策のDIY記事で使われているのが4Lタンクの噴霧器です。しかし、この噴霧器でシロアリ対策をするのは困難です。というのも、100L以上の希釈薬剤を散布する必要があるからで、仮に100Lを4Lタンクで散布する場合、25回も薬剤を入れ替えなければなりません。現実的ではありませんので、専用の動力噴霧器を使うことを推奨します。

3.床下に薬剤を処理する

9:00準備噴霧器の設置、薬剤の希釈、点検口付近の養生
10:00木部処理床下の木材に防腐防蟻剤を処理
12:00休憩
13:00土壌処理床下地面に防蟻剤を処理
15:00片付けタンクの掃除、養生の片付け

床下への対策は上記表の通りとなります。長時間の作業となるため、必ず1時間ごとに10分程度の休憩を取りましょう。

準備

作業は1日かかりますので、午前9時ごろから準備を開始します。プロの作業は2~3時間ほどのスピードで完了できますが、初めての場合は2〜3倍時間がかかると考えておいたほうが良いですね。

1.機材の設置

噴霧器やタンクは重いため、庭や玄関など建物の外に設置します。できれば玄関前や勝手口前などに設置するのがおすすめです。ホースを伸ばして施工するため、機材の置き場所が建物の出入口に近いと効率的に作業が行なえるためです。

2.養生

建物の出入口から点検口まで床に養生シートを敷きます。また、点検口の周囲はホコリ対策としてビニールで覆うのがおすすめです。

3.木部用薬剤の希釈

木部用の薬剤を希釈します。1㎡あたり0.3Lが基準のため、33㎡なら10L調製します。

4.保護具の着用

つなぎやマスク、ゴム手袋、保護メガネ、ヘッドライトを着用して床下に入る準備をします。

木部処理

1.ホースを伸ばして床下に進入する

ホースは自分の腕に輪を作るようにホースを巻いて床下に持っていきます。こうすることでホースを絡ませること無く床下まで運ぶことができます。
点検口付近は落下の危険があるため、1人が点検口の開け閉めをする役を行います。

2.床下の木材表面に薬剤を吹き付ける

床下の露出した木材に薬剤を散布します。散布後は木材が濡れて濃い色に変化するので、吹き残しや吹きムラができないように全ての木材に散布しましょう。
木部処理は点検口周囲から始めて奥に進みながら処理します。1番奥まで処理が終わったらホースをその場に置いて昼休憩を取りましょう。

重点ポイントは玄関・浴室・勝手口

シロアリ被害が多い玄関や在来浴室周辺は、木部処理をより重点的に処理しましょう。基礎の隙間や床組の隙間などに薬剤をしっかり注入することでそのリスクを減らすことができます。

土壌処理

1.薬剤を希釈する

木部用とは異なる薬剤を使用するため、薬剤をタンクで希釈します。午前中に使用した木部用の薬剤が残っていると土壌用薬剤と混ざってしまうため、木部処理剤は事前に使い切っておきましょう。土壌用薬剤は1㎡あたり3L程度使用するため、1階床面積が33㎡なら100L調製します。

2.床下に再度進入する

保護具の準備ができたら噴霧器のスイッチを付け、床下に進入します。ホースの先端を置いている床下の奥まで移動しましょう。

3.奥から薬剤を処理する

土壌処理は床下の1番奥から散布を開始し、点検口周囲が最後になるように処理していきます。土壌表面に薬剤を散布するため、散布した場所を通ることができなくなるためです。

重点的に散布するポイントは、基礎の付け根、配管の根元、束柱の根元などです。シロアリが地中から登ってくる可能性がある場所を帯状に散布していきます。

帯状散布基礎、配管、束柱等の立ち上がりに処理する。1mあたり1Lが目安
面状散布床下の地面全体に処理する。1㎡あたり3Lが目安
4.点検口付近で薬剤を使い切る

点検口の真下まで戻ってきたら、余分なホースを床に上げて自分も床に上がります。点検口から床下を覗き込むように薬剤を散布して完了です。

片付け

  • 養生の撤去
  • 点検口付近の清掃
  • ホースの巻取り
  • タンクや噴霧器の清掃

点検口付近や道具類などを元通りにしましょう。

4.自分でシロアリ対策をする際の注意点

最後に、シロアリ対策をご自身で行う際に注意すべきことを解説します。

・2人で作業する

1人だけで作業した場合、万が一床下で怪我をしても助けてもらうことができません。また、点検口からの転落やペットの床下への誤侵入の危険性もあるため、必ず床上で待機する人を付けましょう。

・芳香剤などが使えない人は医師に相談

ヘアスプレーや芳香剤、市販殺虫剤等の匂いに体が反応するなど化学物質過敏症の症状がある場合は、医師に判断を仰ぎましょう。シロアリ対策工事は超低臭性で揮発することのない薬剤を使用しますが、化学物質過敏症の方には床下への薬剤散布を推奨しておりません。

・魚類、昆虫は別の部屋に避難させる

シロアリ用の薬剤は人など哺乳類に対しての毒性はありませんが、昆虫や魚類に対して強い毒性を示します。床上で間違って薬剤を噴射させてしまった場合、近くで飼育している魚や昆虫に対して悪影響となる可能性があります。

まとめ

今回は、シロアリ対策の方法について非常に詳しくご説明させていただきました。

基本的には、シロアリに対して「無防備」な状態を作らず、日々の変化に目を向けることがシロアリ対策への1番の近道です。それに加えて、床下をプロ並の処理で対策することができれば極めて効果的なシロアリ対策、シロアリ予防になります。

この2つがシロアリ対策の基本となり、最も重要な対策です。

皆さんもこれらをベースに、日々の暮らしの中でシロアリに被害を受けない家づくりを実践していきましょう!

参考文献・参考サイト

建築基準法施行令 第49条(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325CO0000000338
防除施工標準仕様書(公益社団法人日本しろあり対策協会)p4,p5
防除薬剤等の現況(公益社団法人日本しろあり対策協会)p21

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