こんな共通点がある!ツーバイフォーのシロアリ被害

  • シロアリ駆除

Researcher

研究者プロフィール
田口 正訓

研究員 2007年入社

埼玉営業所テクニカルチーム

大学では在来草本植物の研究に携わり、自然環境と生物の相互関係を学ぶ。 2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。 休日も生き物や植物の写真撮影に勤しむ。

interview

こんにちは。シロアリ専科の田口です。

先日、施工後にお客様と会話した時、ツーバイフォー住宅について話題になりました。

お客様がおっしゃるには、「ツーバイフォーの家って地震に強いから、一時期流行りましたよね?」と。

ツーバイフォー住宅が地震に強いのは、4面の耐力壁と、床、天井を合わせた6面体構造で箱型の一体構造となるからです。

ツーバイフォー住宅は、阪神・淡路大震災や東日本大震災での倒壊被害が少なかったという結果が、一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会の調査で判明しているそうです。

ツーバイフォー住宅の耐震性は高いです。しかし、耐震性を維持するには、定期的に家屋のメンテナンスを行い、シロアリ被害から守る必要があります。家屋の耐震性と、シロアリ被害を切り離して考える事は出来ません。

では、そもそもツーバイフォー住宅は他の建物構造と比較して、シロアリの被害に遭いやすいのか?
答えは一概には言えません。

しかし、ツーバイフォー住宅の被害には共通点があります。

ツーバイフォー住宅に使用される木材

まず、ツーバイフォー住宅に使用される木材についてお話しします。

ツーバイフォー住宅では、SPF材というスプルースなどに代表されるホワイトウッド系の材木がよく使われます。これらの材木は加工がしやすいことや、安価であることなどからほとんどのツーバイフォー工法で使われています。

加工がしやすい、安価であるというのはとてもいいことですが、いいことづくしというわけではありません。

加工がしやすいと言うことは木材が柔らかい事を意味しており、シロアリが最も好む材質でもあるのです。

しかし、これだけの理由で、ツーバイフォー住宅で被害に遭いやすいとは断言できません。ツーバイフォー住宅では、床下が土間コンクリートないしベタ基礎の事も多く、床下は比較的乾燥しています。土間打ちがされてない物件でも、防湿シートが敷かれている場合がほとんどです。

シロアリ被害に遭うツーバイフォー住宅の共通点

では、どうして、ツーバイフォー住宅で被害が発生するのでしょうか。

私がこれまで見てきたツーバイフォーの住宅で、シロアリの被害に遭っている物件にはある共通点があります。それは、外壁に雨漏りが生じているということです。

私が実際に経験した、ツーバイフォー住宅の被害物件についてお話しましょう。

築年数は20年程、リビングの幅木が食害に遭い、壁から羽蟻が出没したという内容でした。

通常シロアリは床下から侵入するので、床下の調査を行うのですが、その物件はベタ基礎で見た目も綺麗、一見すると本当にシロアリの被害はあるのか?という状態でした。

羽蟻が出たというリビング下の床下に潜ったところ、そこにシロアリの蟻道は確認出来ませんでした。

「では、一体どこから?」となるのですが、この場合、点検するべき場所はすばり、外壁と、建物外側の基礎です!

外壁を見ると、塗装やサイディングが紫外線を長年浴びて劣化し、雨漏りを起こしていました。そのため、外壁の中は常に湿った状態。そこに水分を感じ取った白アリが、外の土壌から直接、基礎を経由して外壁に侵入し、被害を与えていたというわけです。

こういうケースの場合、外の基礎に外蟻道が見つかる場合もあれば、見つからない場合もあります。見つからない場合は、基礎の化粧モルタル内から入っています。こうなると、プロの業者でも見落とす可能性も否定できません。

ツーバイフォー住宅の被害で絶対に見るべき場所

床下だけに焦点を向け、床下だけ薬剤散布をしても、被害が止まらず来年も羽蟻が同じ場所から発生…、という結果につながる事もあるのです。

ツーバイフォー住宅の被害に対しては、床下だけでなく、外壁や基礎の状態も念入りにチェックしましょう。もし、外壁にひびや塗装の劣化が見られ、雨漏りが発生し、その中から羽蟻が発生していたら、被害の度合いにもよりますが、内壁の石膏ボードや、外壁をはがす事も必要になってきます。

予算の関係上、壁をはがす事が出来ない場合は、羽蟻の発生部位と周辺の壁に、直径3㎜ほどに小さな穴を開け、そこに専用のノズルを用いて薬剤を注入し、駆除する方法もあります。

とは言え、雨漏りが深刻な場合は、壁をはがして駆除するのが確実です。特に、高気密、高断熱のツーバイフォー住宅の場合、一度雨漏りが生じてしまうと、壁の広範囲にシロアリの被害が発生する可能性が高くなります。

そうなる前に、定期的に外壁のチェック、メンテナンスをしっかり行う事で、シロアリ対策につながります。もちろん、外壁のみならず、床下からの侵入で被害が発生する可能性もありますので、床下の定期的な薬剤散布を行う事も必要です。そうする事で、シロアリの被害を長年にわたって予防する事が出来ます。

さいごに

今回はツーバイフォー住宅のシロアリ被害について紹介してきました。

シロアリ被害の遭いやすさは使用する材木や建物の構造により差異があります。しかし共通している事は、何もメンテナンスをしないままで放置していると遅かれ早かれシロアリの標的にされてしまいます。

ですので、定期的な建物の点検と、薬剤処理を行う事が重要です。

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