【被害実例】湿気が招いた悲劇
- シロアリ駆除
- 事例
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Researcher
- 田口 正訓
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研究員 2007年入社
埼玉営業所テクニカルチーム
大学では在来草本植物の研究に携わり、自然環境と生物の相互関係を学ぶ。 2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。 休日も生き物や植物の写真撮影に勤しむ。
interview今年も昨年と変わらず、私はシロアリの駆除に勤しんでいる。
玄関が食害に遭った家、浴室から羽蟻が発生した家、外の基礎からシロアリが侵入した家と内容も様々だ。
そんな中、お客様に記事掲載の許可をいただくことが出来たので、被害と駆除についてリポートをまとめた。
築約50年。新築から1度も防蟻工事を行っていない
外観からして、ある程度の築年数を覚悟した。
施工前の調査では、築年数は把握していなかったので、お客様に聞いてみる。
「築年数って何年くらいですか。」
「約50年くらいですね。」
「…今まで防蟻工事をなさったことはありますか?」
「一度もないです。」
正直、これはなかなかの物件だ。
10年以上シロアリの防除工事に携わってきて、駆除工事の依頼は年々減少していると感じる。
現在は駆除より予防が主流だ。仮に被害があっても、建物の一部分のみというケースがほとんどだ。
また、建て替えも進んでいるので、築年数50年以上という物件は少ない。
覚悟して、床下に潜った。
被害は広範囲に
「湿気がすごいな。」
匍匐前進をしてすぐ、作業着を確認すると肘と膝が水を吸って黒く変色していた。
施工日は4月28日、まだ大汗はかいていない。
汗ではなく、土壌に含まれる水分が原因。
ヤマトシロアリが好む湿度の高い環境だ。

被害が著しいという、台所下の土台にむかう

通常、蟻道の表面は乾いており、明るい茶色に見えることが多い
蟻道を崩して生息の有無を確認する。


土台だけでなく、筋交いも黒く変色している。
ヤマトシロアリが蟻道を通じて水分を運んだことも影響しているが、それだけでここまで黒くなるのか?
どうやら外側にも原因がありそうだ。建物の外周もチェックしてみることに。

台所の外側を確認すると、クラックを確認。
日常的に雨漏れが発生しているようだ。
床下の湿気と、外壁の雨漏れのダブルパンチで、被害が進行したようだ。
台所以外はどうか

浴室はユニットバスではなく、在来浴室、湿気で変色している。
褐色腐朽菌の影響だ。

階段下も被害あり。蟻害腐朽が進行していた。
その他、和室、廊下、トイレでも蟻道が確認された。
「床下全体が被害を受けている建物は久々だ……。」
ここまでの被害実例は近年はなかった。
駆除方法
駆除方法は、通常のバリア工法だ。
床下土壌全体の薬剤散布、木部の吹き付け処理、そして被害箇所の薬剤注入を行った。
床下がない玄関、浴室は室内側からの穿孔注入処理で対応。
実は予防施工と基本的な流れは変わらない。
薬剤を散布し、散布出来ないところは直接注入する。
但し、今回は被害が甚大だ。
とにかく、見落としがないよう、慎重に確認を行い、一つ一つ被害箇所を処理していく。
そのため、時間がとてもかかる、一日がかりの駆除となった。


木材の再生は出来ないが、防腐、防カビ剤が含まれているので、腐朽の進行を食い止めることが出来る。

シロアリ駆除は早期対応が必須
こうした物件の駆除を担当するのは、数年に1度くらいの割合だろうか。
ここまで被害が広がった原因は2つ。
まず、ヤマトシロアリが好む環境だったこと。
ヤマトシロアリは砂質土の乾燥した土壌にも生息しているが、湿気の多い土壌を好むので、こちらの物件の環境がヤマトシロアリの生息する条件に好適だったことが一つ。
つづいて、建物のメンテナンスをせずに被害を放置してしまったこと。
最近の被害で多いと感じるのは、築20年前後で、初めて防蟻を行う物件。
この場合、被害の程度は部材の1部分だけ食害に遭い、大工さんが入ってまでの部材の交換、修繕は不要という事例がほとんど。
それと比較すると、今回の事例は築約50年。
一度も防蟻施工を行っていない。
外装のメンテナンスも10年以上行っておらず、外壁にひび割れが生じ、雨漏りの可能性も指摘される環境。
早期に発見、駆除すればここまでの被害には至らなかった。
ふと思ったのですが、これって虫歯治療と一緒。
虫歯治療も早期対応が重要。
放置することで、総入れ歯や歯周病の悪化で命に関わる可能性さえあります。
かくいう私も、昨年末に虫歯が悪化し、年始に歯を2本抜歯することに。
初期の歯周病もありました。
歯医者が嫌で、放置したところ、病状を悪化させてしまった。
正直、後悔しました。
現在は定期的に歯医者に通っており、口内環境は良好です。
シロアリも歯科医療もジャンルは違えど本質は同じです。
早めに点検・治療するに越したことはないと思いました。
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