妊婦や小さな子供がいてもシロアリ駆除を行って大丈夫?
- シロアリ駆除
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Researcher
- 田口 正訓
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研究員 2007年入社
埼玉営業所テクニカルチーム
大学では在来草本植物の研究に携わり、自然環境と生物の相互関係を学ぶ。 2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。 休日も生き物や植物の写真撮影に勤しむ。
interviewこんにちは。白蟻専科の田口です。
今回の記事では、「妊婦や小さな子供がいても、シロアリ駆除を行って大丈夫かどうか」という疑問に答えていきます。
大丈夫と断言できる理由
何度かこのようなご質問をいただいたり、場面に立ち会ったりした事がありますが、結論から申し上げますと、妊婦さんや、小さいお子さんがいても、シロアリ駆除を行って大丈夫です。
私は15年以上シロアリ駆除の仕事に携わってきましたが、体調を崩された妊婦さんや小さなお子さんを見たことはこれまで一度もありません。
では、なぜ、大丈夫と断言出来るのでしょうか?
それは、現在使用されているシロアリ駆除の薬剤は、「公益社団法人日本しろあり対策協会」の認定を受け、健康や安全性に配慮されたものが使用されているからです。
施工時は、薬剤の原液を水で規定倍率に希釈してから散布しますが、希釈した時点での薬剤は毒物でも劇物でもなく、普通物です。もし、それが毒物や劇物であれば、現場で施工している人たちが正常でいられなくなります。
事実、ほぼ毎日薬剤を取り扱っている私の体は健康そのものです。
進歩する薬剤の安全性
たまに「シロアリ駆除って昔ヒ素を使っていましたよね?」とお客様から言われますが、ヒ素を使っていたのは、戦中や戦後直後の時ですし、現在は当然ながら使用が禁止されています。
また、ヒ素使用禁止の後に、広く使用された有機リン系(クロルピリホス等)も2003年の建築基準法の改正により現在は使用されていません。過去に使用されていた薬剤のイメージから、シロアリ駆除=人体に大丈夫?という認識があるようです。
例えばネオニコチノイド系のクロチアニジンという有効成分を採用しているタケロックMC50という薬剤では、ラットを使用した実験では急性経口毒性(LD50)は5000/㎏と、食塩の3000~3500/kgよりも毒性が低いという結果が出ています。
そもそも食塩や、コーヒーに含まれているカフェインも、一度に多量に摂取すれば健康に影響を及ぼしますし、見方を変えれば、日常生活で身近な成分も、摂取しすぎると全て毒になるという事が言えます。
また、現在使用されている薬剤は揮発性化合物(VOC)が低く抑えられているのも特徴です。かつては薬剤が揮発して室内に浮遊し、それが健康面に悪影響を及ぼし、シックハウス症候群の原因となっていました。
臭いは一時的なもの
ご年配のお客様から、「昔にシロアリ駆除をした時、臭いがきつかったよね。」というお話しを聞いた事があります。
具体的にいつなのかは定かではないですが、建築基準法が改正される2003年より前と推測され、有機リン系の薬剤が使用されたと思われます。そして、臭いとともに、薬剤が揮発していた可能性があります。
現在、私が施工後に感じる事ですが、やはり、薬剤特有の臭いや、コンクリートや土の臭いが多少あるなと思います。
しかし、床下点検口の蓋を閉じれば、それ以上に薬剤の臭いや成分が室内に上がる事はなく、自然と落ち着いてきます。
私は施工後に必ずお客様に薬剤の臭いが気にならないか確認しているのですが、体感で約8割の方が「ほとんど気にならないし違和感もない」と仰っています。
施工時は、床下点検口の周辺をビニールでテント状に囲い養生した上で薬剤散布を行い、施工後の片付けも養生を丸く収納して、臭いや成分が極力飛散しないよう配慮しています。
薬剤が使えない場合もある
ここまで、現在使用されている薬剤の安全性についてお話ししました。ただ、それでも心配な方は一定数いらっしゃいますし、また、化学物質過敏症と診断される方もいます。
私も、これまでに一度だけ化学物質過敏症の方と対面した事があります。その方は一般的な洗剤も全てダメだと仰っていました。
そうなってしまうと、いくら安全性の高い薬剤といってもダメです。
その場合には薬剤散布を行わずに駆除できる、ベイト施工が望ましいです。
ベイト施工とは、ステーションと呼ばれる、シロアリの毒餌が入った専用の容器を建物外周の土壌に均等に埋設していくという方法です。駐車場等、コンクリートが存在する場合は、専用の工具でコンクリートをくりぬき、ステーションを埋設する事もあります。
毒餌にはシロアリの脱皮を阻害する成分が含まれており、それを食べさせ、巣に持ち帰らせる事で、シロアリのコロニーを全滅させる事が出来ます。
ベイト施工では、薬剤の成分が揮発し、室内に侵入するという事もありませんので、化学物質過敏症の方、妊婦さんや小さいお子さんがいてもご安心していただけます。
通常の薬剤散布施工も十分に安全性が確保されておりますが、それでもご不安に感じられた場合、ベイト施工をご検討されてみてはいかがでしょうか。
さいごに
以上、薬剤の安全性についてお話しさせていただきました。
現在使用されている薬剤は改良が進んでいますので、薬剤施工に対して、大きく身構えなくても大丈夫です。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
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