多種多様なシロアリ対策工事の種類

  • シロアリ駆除

Researcher

研究者プロフィール
七海 里枝

研究員 2008年入社

管理課

大学では木材害虫および森林昆虫を専攻し、菌食性昆虫の生態研究を行う。 2008年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 シロアリをテーマとした漫画を執筆し、(公社)日本しろあり対策協会の展示会に出展協力など、異色の経歴を持つ。

interview

「シロアリ対策の工事風景」という言葉から想像するのは、ツナギを着たスタッフが床下で液状の薬剤を散布している様子ではないかと思います。

しかし実際は、多様化した建物の構造やニーズに合わせた様々な施工種類が存在します。

この記事では、主だったシロアリ対策工事の施工種類をご紹介いたします。

①床下に薬剤のバリアを作る方法

液剤施工

液状の薬剤を床下に散布する方法です。

シロアリ対策工事の工法としてはもっとも主流で、使用される薬剤もたくさんの種類があります。

床下に施工スタッフが入って工事を行うことが多いのですが、近年は人の代わりにロボットが薬剤を散布するケースも出てきました。

粒剤施工

粒状の薬剤を基礎の立ち上がり部分に設置して予防する工法です。

床下全面に薬剤を処理するのではなく、主たる侵入経路である基礎際に薬剤を設置することで、少ない薬剤量でシロアリの侵入を予防します。

テクノガード工法

テクノガードはシロアリ対策と同時に湿気対策も行うことができる工法です。

特に床下が土壌のお建物で効果があります。防蟻薬剤を含んだ樹脂を床下に散布します。時間が経過すると樹脂が硬化していき、1年ほどでカッチカチになります。

②建物外周に薬剤のバリアを形成する方法

タームガード

タームガードは床下ではなく建物周囲に薬剤のバリアを作る工法です。

建物周囲の土中にパイプを配置し、液状の薬剤を流すとパイプの穴から薬剤がシャワーのように噴出されます。

床下に薬剤を散布せずにバリアを形成することができる一方、新築時にパイプの設置を行うことが前提となります。

③毒餌を持ち帰らせる方法

毒餌によるシロアリ対策はベイト工法と呼ばれます。

建物の周囲の土壌に専用の容器(ステーション)を設置し、その中にシロアリが摂食可能な薬剤を入れます。その薬剤をシロアリが食べ、仲間に分け与えることで巣(コロニー)全体に効果が出るというものです。

薬剤はシロアリの食害を受けると減っていくので、定期的にステーションを点検し、必要があれば薬剤を補充します。このことからベイト工法は「維持管理型のシロアリ防除システム」とも言われます。

既存の建物かつ床下がない建物でも施工が可能ですが、敷地いっぱいに建物がある場合などはステーションが設置できないため、施工が難しい場合があります。

④その他

ガラス粒材工法

薬剤とは異なる物理的なバリアを作る方法です。

シロアリがかじったり動かしたりすることができないような薄いガラス片を床下の基礎際などに設置することで、シロアリの侵入を防ぎます。

この工法は既に建っている建物では行えず、新築かつ床下がベタ基礎の建物で施工が可能です。

ターミメッシュ

こちらも物理的なバリアを形成します。

メッシュと名前にある通り、シロアリが通れないほど細かい金属製の網を基礎際などに設置します。

さいごに

これまで紹介してきた工法はあくまで一部で、他にも防蟻成分を含んだ防湿シートを床下に設置する方法や、ペーストタイプの薬剤、燻蒸タイプの薬剤・・・など、調べれば調べるほど多様な薬剤、多様な工法が見つかります。

かつて日本では有機塩素系の薬剤、有機リン系の薬剤が使用されていましたが、土壌や人体への影響が懸念され、薬剤の安全性についての規制が強まるにつれて使用が禁止されてきました。

構造についても100年前に建てられた建物と今の建物では違います。

現在使われている薬剤も今後別の薬剤や工法に移り変わっていくのかもしれませんね。

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