蟲神器のシロアリカードが出るまで開封して、シロアリが何シロアリなのかを検証してみた。

  • 検証

Researcher

研究者プロフィール
木村 健人

研究員 2009年入社

経営企画部webマーケティング課専任課長

シロアリ・木材腐朽菌に対する防蟻・防腐薬剤性能評価、木材保存について在学中に携わる。 2009年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。趣味はシロアリ飼育。

interview

蟲神器(むしじんぎ)。

蟲の神の器、神から受け伝えた宝器である。そんなカードゲームがなんと全国のダイソーで売られている。今は何でも100円で買える時代だ。蟲神器も100円である。

今回、なんとそんなカードにシロアリが出た、との噂を聞きつけ、ダイソーへ飛んだ。

シロアリのことなら何でも検証しないと気がすまない私が飛びつかないはずがない。購入した蟲神器は1箱、20パック。果たしてシロアリのカードとは一体…?

蟲神器を買ってきた!

9月某日、白蟻専科社内。

木村

これが蟲神器です。ブースターパックっていう5枚入りのパックが新発売されたんですけど、ここにシロアリが入っているらしいんですよ。

橋本

え、これを箱で…?

木村

ええ、今回そのシロアリのカードをどうしても見たいので、1箱20パック大人買いしてきました。

橋本

子どもの頃にみんな憧れてた大人の箱買い…

田中

へぇ、ダイソーでもこんなカードゲームが売られてるんだ。面白そう。

と、今回も私一人だと心もとないので、虫に詳しいお二人にも参加してもらった。

田中
幼少期から現在に至るまで昆虫とともに育った昆虫エリート。過去に300種類ほどの虫を飼育。

橋本
同じく幼少期から現在に至るまで昆虫とともに育った昆虫エリート。カードゲームは未経験。

木村
苦手だった昆虫を社会人になってから克服。
遊戯王を25年くらい前にやった経験あり。

木村

蟲神器って、いろんな虫の種類がカードになっているんですよ。なので、お二人にはその解説もしてもらえたらなって…。

蟲神器はゲーム性も高い

木村

実は自分、蟲神器に結構ハマってて、すでに蟲主なんですけどコレクション見てくれます?

田中

むし…ぬし…?

木村

蟲神器のプレイヤーのことです。皆さんもぜひ蟲主になってもらおうかと。

木村

こんな感じで日本や海外の昆虫やクモのカードがあるんです。自分はコレクション中心なんですけど、ゲームもかなり完成度高くて好評らしいですよ。

橋本

普通にオタク…

田中

なんか楽しそうだからやってみたいかも。

簡単にルールを説明すると、自分の縄張りを相手の攻撃から守りながら相手の縄張りを攻撃して最終的に相手プレイヤーに直接攻撃を与えたら勝ち、という比較的シンプルなルール。

20枚のデッキ(同一カードは2枚まで)をそれぞれ用意すればプレイできるので、かなりハードルは低め。しかもよくあるカードゲームよりもデッキの枚数が少ないのでプレイ時間も短い。

最近では、生き物系YouTuberのちゃんねる鰐さんはじめしゃちょーさんがハマっていることも話題になったほどなので、気になった方はぜひそちらの動画も見てほしい。

と、仕事中に蟲神器で遊び始める3人…。

木村

ヘラクレスサンをエサにして、ネブトクワガタを召喚して攻撃!

田中

んー出せる虫が全然いない…。

蟲主が初心者をボコボコにしている図。裏返しにして6枚並べたカードが縄張り。この縄張りを攻撃して数を減らし、縄張りがなくなってプレイヤーに直接攻撃を当てたら勝利となる。

木村

エサを4つ消費して、オオスズメバチを召喚…!!プレイヤーを直接攻撃…!

木村

やった!勝った!

田中

いや全然虫の出し方とか分からなかったし、よく分からないうちに終わったんですけど。

木村

どうです…?楽しくないですか?

橋本

2人とも、これ開封してシロアリを出す企画なの忘れてない?

木村

………。


シロアリが出るまで開封してみた

木村

じゃ、さっそくシロアリが出るまで1パックずつ開封していきましょう!

田中

じゃあ自分から開封していきますね。

田中

レアっぽいカードがでてきた。

橋本

ムカシヤンマ!<生きた化石>って技のとおり原始的なトンボだね。

木村

そうそう、この蟲神器第4弾は<生きた化石>といって原始的な昆虫が結構収録されているみたいなんですよ。ムカシヤンマもその一つっぽいですね。

ちなみに蟲神器のブースターパックは、「赤(肉食)属性」、「青(蜜)属性」、「緑(草食)属性」、「術 or 強化カード」、「SR or LR」の5枚が入っている。SRとLRのどちらかが必ず入っているのでレアリティの高いカードも手に入れやすい。

田中

次はカヤキリ…俺の指先を飛ばしたやつだ。小学生のとき。

木村

え!?

田中

このカヤキリを素手で掴んだら大顎で指先をスパッととばされちゃって。

橋本

痛いの?

田中

そう、ニッパーみたいに切れるからかなり痛い。どぼどぼ血が出るし結構おっかない昆虫だね。

木村

技の名前が「かみちぎる」ですしね笑

田中

このアオハナムグリも生態のまんまの技の名前だね。樹液場でこいつの得意技が「たいあたり」だから…笑

木村

他の虫に体当たりするんですか?

田中

そう、「お前ジャマだ」ってカブトムシに体当たりしてよく弾き返されてる。

木村

かわいいじゃないですか笑

蟲神器が人気である理由のひとつが、この生態に関する情報の太さだ。技の名前も生態を汲んだものになっているうえ、生息地や体長などの解説が表面下部に掲載されている。大人が楽しめる一方で直接的には知育的な意味合いが深いカードゲームと言えそうだ。

木村

コカブトムシって初めて聞きました。この死骸あさりってなんですか…

田中

珍しいカブトムシなのよね、コカブトって。肉食性で。

木村

え、そうなんですか…!

橋本

普通にいるんだけど、カブトムシよりも捕まえるのむずかしいからね。

田中

カブトムシというよりゴミムシとかフンコロガシに見えるし。

と、出てくるカード全てにエピソードトークを重ねてくださるお二人…。めちゃくちゃ面白いし勉強になるが、残念ながらシロアリは1パック目には出てこなかった。

田中

最初の1パックではシロアリ出なかったですね。

木村

そうですね、結構時間かかりそうなので、どんどん見ていきましょう!

2パック目

橋本

じゃあ次は自分が

田中

チョウトンボはチョウみたいにひらひら飛ぶトンボで、メタリック色がキレイな翅なんだよね。

橋本

ドロハマキチョッキリは葉っぱを巻くムシだね。

木村

皆さんほんと何でも知ってますね…!でもシロアリはいない…。

3パック目

木村

じゃあ次は僕が

木村

アントアンカブトハナムグリ。

田中

これは知らない。

橋本

自分も知らないなぁ。

田中

ハナムグリなのにヘラクレスオオカブトみたいな角が生えてる。

木村

逆に、ここまで2人とも知らない虫がいなかったことに驚き笑

橋本

でもこれ格好いいね。

なかなかでないシロアリカードを引くため、どんどん開けていく3人。

5パック目

橋本

じゃあまた自分が…

木村

そろそろ出てほしいですね〜。

橋本

…ん?

橋本

白蟻…の収穫?

これがシロアリカード…?

木村

白蟻って書いてますけど、これがそれですかね…?

橋本

なんかイメージと違う。

田中

しかも、虫のカードというより術カードじゃない…?

(※術カード:特定の効果を発動するカードのこと)

木村

たしかに。

調べてみたところ、シロアリのカードはこの「白蟻の収穫」しかなかった。つまりこれが正解の様子。が、まさかシロアリの種名のカードではなくて白蟻の名前が付いた術カードだったとは。

木村

でも、とりあえずシロアリ、出ましたね笑

ちなみに、結局20パック開封してこの「白蟻の収穫」カードは2枚手に入れることができた。もっと出るかと思いきや意外にも確率は低め。

では、このシロアリは何なのか

木村

このシロアリ、かなり厳ついフォルムですね。

橋本

いつも見るシロアリとは違ってなんか似つかわしくない。

田中

収穫シロアリというと、本来は草原で草を刈り取って貯蔵するシロアリだけどね。

(注:収穫シロアリはアフリカなど草原地帯に生息する草を収穫・貯蔵するシロアリのこと)

木村

でもこのシロアリ、木や植物を収穫してないような…。

橋本

確かに良く見たら木じゃなくて一分銀を収穫してる…笑

木村

あ、シロアリには銀を食害するという話が中国に古来からあるんですよね。隠していた銀が食べられて減ってしまった、みたいな。

橋本

てことは中国のシロアリってことかな?

田中

でも、一分銀を収穫しているから、日本、しかも江戸時代かも。

木村

中国の話が本当なら、多分そこまで食害するシロアリってイエシロアリですよね。本来の原産地は中国みたいですし。

田中

じゃあ、イエシロアリが銀をも食べるという言い伝えをカードの絵として強調して表現している架空のシロアリなのかも。

木村

だとしたら、結構考えられているカードですね…!

橋本

本物の白蟻とは違うかもしれないけど、実は物語がしっかり描かれてる凄い絵だったとは。

ただ、やはり本物のシロアリと比べるとシロアリ感はあまりない。自社の壁に飾られているシロアリの絵画と比較してもやはり違う。

木村

とはいえ、欲を言うと虫カードになっててほしかったかも。

田中

シロアリのカードっていう点だとそうかもね。

橋本

虫カードは術カードと違ってディテールが忠実に再現されているし。

木村

やっぱ虫カードにするならオオシロアリじゃないですか?世界最大のシロアリが日本にいるわけだし。

田中

あの格好いいメジャーワーカーをね、ぜひレジェンドレアでお願いします…!

オオシロアリの兵蟻と職蟻

木村

シロアリデッキ、夢ですね〜。

橋本

ヤマトシロアリの影分身、とかね。

田中

その女王を倒したら実は本物の女王は手札にいた、みたいな笑

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木村

じゃ、せっかくなんで、白蟻のカードを入れて1戦やりますか。

蟲神器、ほんと面白いのでみなさんもぜひやって広げていきましょう!!

あとがき

現代では「虫が苦手」「気持ち悪い」という風潮が広まっているが、この蟲神器は子どもたちが虫に気軽に触れるきっかけになると思う。

私たちは昆虫の生態や保全に直接関わることは少ないけれど、シロアリという生き物を通して社会と繋がっている。だからこそ、そうした基盤や考え方の重要性を理解しておきたい。

誤解や偏見なく、昆虫などの生き物と共存できる社会を目指すためには、このようなカードゲームも一つの大きな役割を果たすのではないだろうか。

とりあえず、蟲神器にシロアリが採用されたこと自体、奇跡のように感じるが、「白蟻の収穫」の誕生で今後は虫カードにも採用されることを期待してしまう自分がいる…。

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