「しろあり防除士」取得の道程とは?勉強内容に迫る①(-シロアリ生態編-)

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Researcher

研究者プロフィール
田中 勇史

研究室長 2007年入社

シロアリ業務技術開発課専任課長

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。 大学の海外調査にも協力。

interview

こんにちは。田中です。

今回は、「しろあり防除施工士」という資格についてご紹介ます。

しろあり防除施工士という資格は、その者がシロアリについての生態、木材の性質、家屋の点検、防除施工といった専門的な知識を備えている証であり、シロアリ業界に関わる人間であれば取得は必要不可欠と言っても過言ではない資格です。

とはいえ、資格取得を目指す際の具体的な勉強内容や試験ついてはあまり世間には認知されていないと思います。

そこでこの記事では、私が実践してきた内容を基に、しろあり防除施工士になるにはどのような勉強が必要かをご紹介していきます。

資格試験に合格する必要がある

まず、しろあり防除施工士の資格を取るために必要なことは、資格試験対策一本です。

資格試験に合格することで資格証が発行され、晴れて防除施工士となれるのです。

では、実際の対策はどのように行うのが良いのでしょうか?

しろあり防除施工士の試験は、昔は一次試験と二次試験の二回に分かれていて一次試験は選択問題主体の試験、二次試験は筆記試験主体となっていましたが、現在は一回の試験で合否を見ています。

試験範囲は、分野ごとに

  1. シロアリの生態
  2. シロアリの薬剤
  3. 木材(建築用語や構造など)
  4. 法律関連

 と分かれています。

今回は、「①シロアリの生態」ではどのような勉強が必要か、ご紹介していきます。

試験ではどんな問題が出題される?

シロアリの生態に関する項目では主に

  • シロアリの種類や特徴
  • 羽アリの特徴
  • アリとの違い

などが多く出題される傾向があります。
種類に関しては、代表種である

  1. ヤマトシロアリ
  2. イエシロアリ
  3. アメリカカンザイシロアリ
  4. ダイコクシロアリ

 の4種を覚えておけばよいでしょう。

また、和名だけでなく科も聞かれることがあるので抑えておく必要はありますね。

この4種は2つの科に分かれます。

一つはミゾガシラシロアリ科

ヤマトシロアリ、イエシロアリなどです。

もう一つはレイビシロアリ科

アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリなどです。

土中生活性のシロアリと木中生活性のシロアリで科が違うよって覚えておきましょう。

シロアリの特徴において重要なのは、

  • シロアリの生活史や各種どのような巣を作るのか
  • 各種どのような食害を行うか
  • 体の作り(触覚の形状や頭部、胸部、腹部のバランス)

 などを頭に入れておくと問題が解きやすくなると思います。

実際の問題を解いてみよう

ここで、実際に出題されたことがある問題を見てみましょう。このような問題は、大体は該当するものを選ぶ、選択問題となっていることが多いですね。

問:次の文章のうち、ヤマトシロアリに該当するものを選びなさい。

  • 生殖虫を駆除すると、コロニーはやがて消滅する。
  • 特別に加工された塊状の大きな巣を作り、内部に王室がある。
  • 多少とも湿った材を加害するので、被害部は腐朽と共存することが多い。
  • 水取蟻道を通して水を運ぶ能力があり、湿しながら加害する。
  • 活動の好適温度は12~30℃で33℃以上では共生原虫が死んでしまう。

詳しく見ていきましょう。

まず、(1)はどうですか?

答えは×。

ヤマトシロアリは、生殖虫が死んでも副生殖虫が職蟻25匹以上残っていれば発生する可能性があるため消滅しません。

では(2)はどうでしょう?

これも×。

イエシロアリの巣の特徴ですね。ヤマトシロアリは特別な巣は作らず、加害箇所がそのまま巣になります。

(3)を見てみましょう。

湿った箇所を好んで食害しているため、同じく湿度を好む腐朽が一緒に見られることが多いのはヤマトシロアリの特徴と一致しています。

よってこれは〇となりますね。

(4)はどうでしょうか?

×ですね。

「水取蟻道」と呼ばれる特徴的な言葉が出てきます。

水取蟻道はその名の通り、水を遠くへ運ぶための蟻道です。これを作る種類はイエシロアリなどでヤマトシロアリは該当しません。

最後、(5)を見てみます。

ヤマトシロアリの適温は10℃以上30℃未満と言われています。また、共生している原虫は暑すぎると死滅してしまいますので、この文章はヤマトシロアリの特徴を捉えていることが分かります。

よって〇。

この問題の答えは(3)と(5)に〇が付けられていれば正解となります。

どうでしたか? 各シロアリの特徴を把握していれば間違いなく解ける問題で、点数を確保しやすい所でもあるので、確実に解けるよう特徴をしっかり理解しておくようにしましょう。

次回は「シロアリの薬剤」についての試験問題をご紹介していきます。お楽しみに!

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