こんなにある!木材が劣化する原因いろいろ
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Researcher
- 七海 里枝
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研究員 2008年入社
管理課
大学では木材害虫および森林昆虫を専攻し、菌食性昆虫の生態研究を行う。 2008年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 シロアリをテーマとした漫画を執筆し、(公社)日本しろあり対策協会の展示会に出展協力など、異色の経歴を持つ。
interview時間が経てばどんなものでも多かれ少なかれ劣化していくものですが、木材においてこの「時間が経てば」の中に具体的にどんなものが作用しているのか、考えたことはあるでしょうか。シロアリによる食害はとてもわかり易い劣化ですが、そのほかにも様々な要因で建物は劣化していきます。
木材の劣化要因いろいろ
木材の劣化を大別すると、シロアリに代表されるような生物を要因とする劣化と、熱や光などによる非生物的劣化に分けることができます。
シロアリ等の昆虫
木材を餌とする昆虫が内部を食害する事によって耐久性が低下したり、木材としての価値が低下したりします。こうした劣化を起こす虫は「木材害虫」と呼ばれ、シロアリ以外ではキクイムシ、シバンムシといった甲虫や、一部のハチが該当します。夏頃に花の咲いている場所で見られる大きなハチ、クマバチも軒下に親指大の穴を開けることがあります。
腐朽
いわゆるキノコ、木材腐朽菌による劣化です。木材を構成するセルロースやヘミセルロース・リグニンを菌が分解してしまうことで劣化します。腐朽が起こるためにはいくつかの条件があり、菌が生息できるだけの温度・水分・酸素・栄養(=木材)が必要です。この条件のどこかが欠けても腐朽は起こらないのですが、この要素の中で最も人間が管理しやすいのは水分(湿気)なので、木造住宅を維持する上で防水・雨仕舞はとても重要なポイントになります。
日光や風雨(風化)
昆虫や腐朽菌による影響がなくても、日光や雨風に長時間さらされるだけでも木材は劣化していきます。日光に含まれる紫外線は木材中のリグニンを分解します。リグニンは木材特有の茶色の元になる成分なので、リグニンが分解されると木材の色は白っぽくなっていきます。公園のベンチなどが時間の経過とともにどんどん白っぽくなっていくのは、リグニンが分解され雨で流出してしまうためです。
熱・衝撃・摩耗
火災で焼けてしまったり、物がぶつかって破損するといった損傷も劣化と言えます。こうした損傷部から雨水が入って腐朽が発生するなど、複数の要因が連鎖的に発生すると木材の劣化は急速に進んでいきます。
建物を長持ちさせるにはやはりメンテナンスが不可欠
新築時はどれほど美しく強固に建てた建物も、日々様々な劣化要因に曝され続けることになります。そのような状態では、何もしないままでいつまでも同じ性能を保ち続けることは不可能です。だからこそ建物を新築するときと同じぐらい、建物のメンテナンスに気を配ることが必要です。
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