一瞬で見分けられる!シロアリとアリの違い
- クロアリ
- 羽アリ
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Researcher
- 七海 里枝
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研究員 2008年入社
管理課
大学では木材害虫および森林昆虫を専攻し、菌食性昆虫の生態研究を行う。 2008年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 シロアリをテーマとした漫画を執筆し、(公社)日本しろあり対策協会の展示会に出展協力など、異色の経歴を持つ。
interview家の近くでたくさんの羽アリを見ると「もしかしてシロアリの羽アリなのかも」と不安に思うかもしれません。
しかし、アリとの見分け方がわかっていればむやみに不安にならずにすみますし、正体がわかっていればどのような対処をするべきかも調べることができます。
この記事ではシロアリとアリについて、主に外見上でどのような違いがあるかを解説していきます。
紛らわしいのは「羽アリ」
まず前提として、働きアリ(職蟻)や兵隊アリ(兵蟻)であれば、名前の通りシロアリは白くアリは概ね黒色か茶褐色をしており見間違えることはないと思います。
紛らわしいのは羽アリです。
羽アリとなったシロアリの体色はアリ同様に黒くなるので、この状態で見分けるには知識が必要となります。
上の画像はヤマトシロアリの羽アリとアリの羽アリを並べたものです。
より違いがわかりやすくなるよう、翅を体から離して描いています。違いとしてわかりやすい赤い矢印の部分について説明していきます。
①胸部と腹部の間のくびれ
見分ける上で一番の特徴は「くびれの有無」です。
アリはハチの仲間なので、ハチと同様に頭、胸、腹を分ける明確なくびれ(腹柄節:ふくへいせつ)が存在します。対してシロアリは胸部と腹部が一体化したような見た目で、「ずんどう」な体型です。
しかし一番の特徴としてくびれを挙げましたが、実際に羽アリと対峙してみると、翅が邪魔をしてくびれの有無が見えにくいかもしれません。
その場合はくびれ以外の複数の特徴を見て総合的に判断します。
②マフラー(ヤマトシロアリの場合)
ヤマトシロアリの場合は首周り(前胸背板)が明るい黄色をしていてまるでマフラーを巻いているように見えるので、首周りを見てマフラーを巻いていたらシロアリの羽アリだなと思います。
なお、このマフラーという呼称は私が個人的につけているものです。
残念ながらヤマトシロアリ以外のシロアリは全身がほぼ均一な色をしているためこの見分け方はできません。
③触角
アリの触角はくの字型、シロアリは数珠状になっています。
シロアリ自体が小さいので、数珠状になっているかどうかを見るより触角全体のシルエットを見たほうが良いかもしれません。
アリの触角は長い棒のような節(触角柄節)とその先の部分に大別でき、そのため「くの字」のシルエットになります。シロアリの触角は柄節がとても短いので、シルエットは直線か緩やかなカーブを描いた形になります。
④翅
赤い矢印の部分とは異なりますが、翅の形状も見分ける場所として挙げられることが多い部分です。
一般的に前翅が長く後翅が短いのがクロアリ、前翅と後翅が同じぐらいの長さなのがシロアリと言われています。
実際は翅を閉じた状態ではどこが前翅でどこが後翅かわからないので、個人的には翅脈(しみゃく:翅に入っている筋)の入り方を覚えたほうが良いのではと思います。
翅脈が直線的で細く密に揃っているのがシロアリ、翅脈が太く木の根のように大きく枝分かれして広がるのがアリです。
なおシロアリの翅は取れやすいため、シロアリの羽アリが発生している場所の近くでは、本体がおらず翅だけが落ちているという状況がしばしば見られます。
虫をまじまじと観察することなく翅だけを見る事ができるので、翅の特徴を覚えておくと虫が苦手な方でも見分けが付きやすいのではないかと思います。
まとめ
いかがでしょうか。
本記事ではシロアリとクロアリの羽アリについて、特に外見の違いに絞ってわかりやすい部分を紹介しました。
それぞれの生態を比較すれば他にも様々な違いがあります。
例えば、シロアリの羽アリはペアを作ったあと地面に降りてから交尾をするが、アリの羽アリは飛びながら交尾をすること、アリは幼虫から蛹の段階を経て成虫になるが、シロアリは幼虫が脱皮を繰り返すことで成虫になること等です。
それぞれの違いを知れば知るほど、アリとシロアリは全く異なる系統に属する昆虫であることがわかります。それでいて働きアリ・兵隊アリといった似たような階級を作り、社会性昆虫という同じ位置づけにいるというのも不思議です。
生き物の進化・多様性というものの面白さを感じずにいられませんね。
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