コオロギレシピグランプリでグランプリを獲得!
- 昆虫食

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Researcher

- 木村 健人
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研究員 2009年入社
経営企画部webマーケティング課専任課長
シロアリ・木材腐朽菌に対する防蟻・防腐薬剤性能評価、木材保存について在学中に携わる。 2009年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。趣味はシロアリ飼育。
interviewシロアリを食べたり、シロアリラーメンをつくったり…
昆虫を食べることに関しては驚かなくなった私たちですが、それでも「コオロギを使った料理コンテスト」という投稿を最初に見たときには、思わず画面を二度見しました。
そのコンテストの名前は「コオロギレシピグランプリ2025」。
条件はシンプルに「コオロギパウダーを使用したレシピを考案すること」。
そして驚くべきは、その賞品。
グランプリ受賞者には、タイのコオロギ養殖場 視察ツアーをご招待。
この時点で「これは白蟻専科として参加しない理由がないのでは…?」と思ったわけです。
白蟻専科として、どうせなら狙いたい「頂点」
実は、白蟻専科ではこれまでにも「シロアリを食べてみた」という記事を公開しており、それなりに本気で「食と虫の関係」について考察してきたつもりです。
同じく、白蟻専科の橋本さんも「シロアリラーメン」を自作して記事化した人物。ラーメン作りが趣味という、もはやただの昆虫食愛好家ではない人です。
そんな背景もあり、「どうせなら白蟻専科でグランプリを…!!」と思うのは必然で、もちろん橋本さんにも声をかけました。

橋本さん、コオロギ料理で一発、グランプリ狙いません…?

なにそれ、面白そうじゃん…!?
と、二つ返事で2人のエントリーが決定しました。
コオロギパウダーは2種類
コンテストへのエントリーが完了すると、主催者から2種類のコオロギパウダーが届きます。
届いたのは、「FINESINTER製」「FUTURENAUT製」の2タイプ。
それぞれに個性があり、FINESINTER製は香ばしさが強く、コオロギを前に出したい料理向き、FUTURENAUT製はコオロギ風味が抑えられていて、隠し味向きといった印象です。
参加者はこの2種のうち、自分のレシピに合った方を自由に選んで使用するルール。この「選べる」という余地があるおかげで、レシピの開発にも自由度が出てレシピの考案が俄然楽しくなりますね。
レシピをつくってみる
1品目:コオロギ梅茶

届いたコオロギパウダーを見て、「まずは素材がどういう味なのか確かめたい」と思い、試したのがお湯で溶かして飲む、コオロギ梅茶。
昆布茶のようなイメージで、塩と梅干しを加えることでコオロギの旨味を引き立たせ「…これ、普通に美味しいんじゃないか」と思うほどの完成度。

材料はこれだけ。シンプルながらコオロギの良さを味わえる。
実際このレシピ、個人的には味と気軽さで言えばグランプリ級ですね。
2品目:スリランカ風スパイスカレー(+コオロギ三重奏)

昆虫食と聞いてまず思いつくのは、やはりクセをどう活かすかですよね。
実は私、趣味でスパイスカレーづくりをしているため、最初にひらめいたのがスリランカ料理でした。
スリランカカレーには、出汁のような役割で「モルディブフィッシュ」という素材がよく使われます。
これはいわば、かつお節のような魚介風味。であるなら、コオロギで代用できるのでは?と考えられなくもないですよね。

コオロギパウダーの風味は、エビや小魚系の乾物に近く、モルディブフィッシュの代替どころか、むしろ強みにできるはず。
さらにこのレシピには、主菜だけでなく副菜にもとことんコオロギを使用。

コオロギのサンポーラ

コオロギのアラテルダーラ風
副菜もすべてコオロギパウダー入りという、トリプルコオロギ構成。コオロギのフルコースとでも言ったところでしょうか。
実際、このスリランカ風カレーはコオロギの風味を感じる一皿で、料理としての美味しさも十分なカレーになったと思います。ただ、一方でカレーのメインにメカジキを使っているため、タンパク質としてのコオロギの存在感は若干薄かったかもしれません。
3品目:魚を使わないコオロギ冷や汁

3品目は、個人的にもかなり思い入れのあるレシピ。というのも、これは自分の好きな料理をコオロギでどこまで再現できるかというテーマで考案したからです。
冷や汁というと、魚(アジやサバ)の身や出汁を使ったレシピが一般的ですが、今回の冷や汁は魚を一切使わず、その代わりにコオロギの旨味で構成しています。
まず主役となるのが、「コオロギ豆腐そぼろ」。

これは、豆腐を炒めて水分を飛ばし、コオロギパウダーを混ぜて“魚のそぼろ”のように仕立てたもの。見た目も食感も、まるで魚のそぼろのような風合いに。
さらに出汁と味噌にもコオロギパウダーを加え、スープ全体からも昆虫の旨味がじんわり感じられるように調整しました。

コオロギの旨味が溶け出した出汁と香ばしいコオロギ感、そこに薬味が加わることで、一口目から「おや?」と思わせて、食べ進めるうちに「いや、普通に美味しいじゃん…」と思わせる構成です。

この時点ではまだ、どのレシピが評価されるのか分かりませんでしたが、自分の「好き」を一番につくった一品という意味では、いちばん素が出たレシピかもしれません。
橋本さんはピリ辛つけコオロギ麺

自作ラーメンでテレビ出演するほどの実力を持つ橋本さんは、もちろん麺類、ピリ辛のコオロギつけ麺を開発。
シロアリラーメンで培った技術と、昆虫の旨味を最大限引き出すセンスで、しっかりと出汁の効いた、奥行きのあるスープを構築。これがコオロギパウダーの「ナッツ系の風味」と絶妙に合うんですよね。
また、市販の中華麺を使っても良いところを、あえて自家製麺を選んだのがこのレシピの凄さ。コオロギパウダーを練り込んだ生地を、自宅の製麺機で完成させています。

私も食べましたが、コオロギをしっかり感じつつ雑味を感じさせないバランス感で感動しました…!
ファイナル進出レシピ7品のうち、2品が白蟻専科から
今回のコオロギレシピグランプリ、全国から約120のレシピが集まったそうです。その中からファイナルへと進出できたのは、わずか7作品。
ただ、その選考結果が通知されたとき、思わず目を疑いました…。

「冷や汁」と「ピリ辛つけコオロギ」がまさかのファイナルW進出…!
審査会、そして結果発表
ファイナル審査は後日、実際にレシピが作られて有識者の方々が試食したうえで評価されます。
そして、その結果が3月末に発表され…
コオロギレシピグランプリ👑
— FUTURENAUT ㍿| 高経大発ベンチャー (@FUTURENAUT_Inc) March 30, 2025
最も優れた今年のグランプリは…!
魚を使わないコオロギ冷や汁
キムラケント(白蟻専科)さんの応募レシピです!
おめでとうございます!🎊https://t.co/PEeBLiTfol pic.twitter.com/NIAozyqQVK
まさかまさかの「魚を使わないコオロギ冷や汁」がグランプリを獲得。
昆虫食はまだまだ初心者の自分が選ばれてしまったことに恐縮しつつ、自分でも美味しいと思えるレシピが評価されたことに感激。
橋本さんのつけ麺もFUTURENAUT賞を受賞したので、結果的にW受賞となりました。
タイ、行ってきます
グランプリ特典の「タイの養殖場視察」に行けることになりました。虫つながりで始めたこのプロジェクトが、まさか海外につながるとは…。
次は現地の養殖場で、未来の食文化に触れてきます!予定では今年の夏ごろですので、タイの視察はまた改めてレポートさせていただきます。
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