生成AIのシロアリに関する回答にツッコミを入れてみた!

  • 検証

Researcher

研究者プロフィール
橋本 実樹

研究員 2007年入社

DX 推進室 専任課長

埼玉県で初のクマゼミの採集実績あり。大学では昆虫類、主にセミ類の分布調査に携わる。 2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。熱海起雲閣で床下ロボット調査、代々木能舞台や国際子ども図書館の駆除など経験。 趣味はハチや魚類の採集、飼育。

interview

近ごろ、ChatGPTをはじめとした生成AIの進化って本当にめざましいですよね。たとえば要件定義やコーディング、プレゼン資料や文章づくりまで、いろんな作業でAIに助けてもらっています。

使うAIの種類によって画像生成だったり文章だったり、得意なジャンルが違います。ChatGPT以外にも、PerplexityやClaudeなど、いろんなAIがあります。

前は時間をかけて文法樹にしながら書いていたコーディングも、AIだと一瞬で精度高い回答をくれるんですよ。まだ間違いもありますが、ここ半年くらいでずいぶん精度が上がってきたのを実感しています。

これまでは、タイピングの速さとかショートカットキーの使いこなし、あるいはコードが書けるかどうか、そういうスキルが強みだったんですが、AIの進化の過程で、人間が「できること」の価値も少しずつ変わってきているような気がします。

これからは、生成AIをどう活かして自分の価値を高めるか。あるいは、AIではまだできないことに自分の強みを見つけるかという時代になりますね。悩ましいところではありますが

私は一専門家としては常に後者でありたいです

どちらにしても、「とりあえず様子見で」では通用しにくくなってきている時代になったと感じます。不安もありますが、それ以上に「どう進化していくのか」を考えるのはワクワクしますね。

さて、前置きが少し長くなりましたが


今回は、私がよく使っているお気に入りの生成AI「Perplexity」を使って、シロアリに関する質問をいくつか投げてみて、その答えがどれくらい正確かを検証してみたいと思います。

実は、Perplexityは仕事よりも趣味のラーメンづくりにおける仮説検証パートナーとして使用する事が多く、重宝しております(笑)
それでは、いってみましょう!

私の評価は以下のとおりです。今回はシロアリ専門家としての目線で顧客に対して正しい回答ができているか、という評価とします。

◎:専門家と遜色ない回答
◯:少し表現がわかりにくい、もしくは補足が必要
▲:間違ってはいないが内容の表現が勘違いされやすい
✕:内容が間違っているもしくは意味がわからない

【私からの質問】
シロアリ(白蟻)に関する質問で、戸建て住宅を所有し、かつシロアリについて心配されている方の目線で、20個の質問と専門家からの解答をお願いします。

・・・回答まで約10分・・・

質問1〜10(グループA:シロアリの基本知識)

質問1. シロアリとはどのような生き物ですか?

【▲】
必要以上にシロアリに対しての恐怖感を煽る回答ですね。
クロアリという表現が的確かどうかはわかりませんが、シロアリ業者が通常のアリと比較する際によく使用される言葉です。 シロアリは集団でコロニーを形成しますが、数に関してはケースバイケースで言い切れるものではありません。建物に被害があれば少なくとも巣がありますので確かに数万はいるでしょう。

でも羽アリを単独で見かけた場合は全く状況が異なりますよね。

建物に被害が出た場合は深刻な害虫となりえますが、シロアリは土壌中にどこにでも存在している生物ですので必要以上に恐れる存在ではありません。

質問2. シロアリとアリの違いは何ですか?

【▲】
そもそも羽アリの前提になっていますね、質問の意図とは違うように思います。 折れ曲がってるという部分がわかりやすいのは主にメスで、オスも部位が分かれてはいますが、折れ曲がり方はメスに比べて非常にわかりにくいので回答としては微妙だと思います。

質問3. シロアリは何を食べているのですか?

【▲】
「木が」というのが専門家的には気になるところです。
木ではなく、木に含まれるセルロースといったほうが正しいですね。セルロースが主食なので同じように紙や竹も食べるということです。

質問4. シロアリの被害はどのようなものですか?

【◯】
大体あっています…が、「深刻な状態かどうか」はシロアリの種類と生息状況により異なります。

質問5. どのような住宅がシロアリに狙われやすいですか?

【▲】
シロアリ被害の広がり方は構造により差が出る傾向がありますが、「侵入する確率」であれば建物の造り(木造か鉄骨か)は関係ありません。シロアリは鉄骨や木造を判別して侵入することなど不可能ですので。

質問6. 鉄筋コンクリート住宅でもシロアリは発生しますか?

【✕】
ホコリの意味がわかりません(笑)、ヒビ割れのことでしょうか?

質問7. シロアリの巣はどこにできますか?

【▲】
シロアリの生息は建物の周辺に限らず、土の中のどこでも可能性はあります。

質問8. シロアリはどのように家に侵入しますか?

【◎】
概ねそのとおりです。

質問9. シロアリが活動する季節はいつですか?

【◎】
そのとおりです。温度が低すぎなければ通年活動しています。

質問10. シロアリと羽アリの違いは何ですか?

【◎】
質問2と被っていますが、昆虫好き以外にはわかりにくい「触覚のくびれ」に言及していないところが好印象です。

質問11〜20(グループB:シロアリ被害の発見と診断)

質問11. シロアリ被害の初期症状には何がありますか?

【▲】
羽アリの発生は時期によります。カンザイシロアリ発生地域は例外ですが、基本的に日本では4~6月でなければ、シロアリである可能性は低いです。

質問12. シロアリを見つけた場合、どうすればよいですか?

【◎】
シロアリを見つけたら、ではなく建物にシロアリの被害があったらですね。どこにでもいる虫なので屋外の廃材などに生息していることはリスクにはなりますが建物に被害があるわけではありません。

質問13. 床下点検はどのくらいの頻度で行うべきですか?

【◯】
点検の頻度は多いに越したことはありませんが、そもそも点検者が生態を理解していないと被害があっても見落とす可能性があります。それと専門業者による薬剤処理を行い保証期間中の場合は基本的に必要ないです。

質問14. DIYでできるシロアリチェック方法はありますか?

【▲】
建物の基礎は区切られている事が多いため、床下点検口からだけだと他の部屋など全体を見渡すことは難しいです。点検口から覗くのと床下に潜って点検するのは圧倒的に情報量が違います。

その他の点検方法も、シロアリの生態を理解していないと気づきにくい部分があります。

質問15. シロアリの被害と腐朽の違いは何ですか?

【◯】
専門家からみるとなかなか的確な表現ではないかと思います!ただしユーザー目線だと専門的でわかりにくい表現がありますね。

質問16. シロアリ対策は何年おきに行うべきですか?

【◯】
施工方法や、薬剤にもよりますが5年を保証期間とし、対策の目安とする工法が一般的ですね。

質問17. シロアリ予防と駆除の違いは何ですか?

【▲】
シロアリ予防は薬剤散布が主流ではありますが、物理的対策やベイト工法などでも行うことがあります。 シロアリ予防は薬剤散布が主流ではありますが、物理的対策やベイト工法などでも行うことがあります。

傾向としては予防より駆除のほうが高額になりますが、業者や工法によって異なります。傾向としては予防より駆除のほうが高額になりますが、業者や工法によって異なります。

質問18. シロアリ対策にかかる費用はどのくらいですか?

【▲】
シロアリ対策と業界相場をどういう意味で分けているのかがわかりませんが、業界相場のほうが一般的な価格に近いです。総じてわかりにくいですね。

質問19. どのようなシロアリ対策方法がありますか?

【▲】
換気扇や調湿剤単体などの湿気対策商品だけではシロアリ対策にはなりません。

質問20. DIYでできるシロアリ対策はありますか?

【◯】
・シロアリの生態を理解している。
・頻繁に床下に潜ることができる
・物理的に侵入経路である蟻道などを潰す作業が苦でない。

以上の要件を満たせば、薬剤を使用せずにシロアリの侵入を防ぐことは可能です。

いかがでしたでしょうか。評価を分類すると以下のような結果になりました。

◎: 4(20%)
◯: 5(25%)
▲:10(50%)
✕:  1(5%)

概ね正しいというか、間違ってはいないレベルの回答が得られましたが、細かい部分が補足が必要になっているような状況ですね。

今回使用したPerplexity自体が一番シェアの高いCHATGPTより現状、日本語に弱い部分があるので微妙な表現が多くなってしまった感は否めませんが・・・個人的な感想としてはなかなか善戦しているのではないかと思います。

また、同じ質問を他のAIにしてみたり、Perplexityで3ヶ月後、半年後にもしてみようと思います。

生成AIの回答は常にアップデートしていますので、現在の回答も半年前よりはかなり精度が上がっている気がしますので、我々プロを超えるような受け答えができるようになるのもおそらく時間の問題ですね。

もっと勉強しなきゃ!と気が引き締まる想いではありますが、今後の展開が楽しみでもあります。

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