蟲神器開発チームに制作秘話と今後の展望をインタビュー
- 取材

Index
目次
Researcher

- 木村 健人
-
研究員 2009年入社
経営企画部webマーケティング課専任課長
シロアリ・木材腐朽菌に対する防蟻・防腐薬剤性能評価、木材保存について在学中に携わる。 2009年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。趣味はシロアリ飼育。
interviewダイソーオリジナルのカードゲームとして話題沸騰中の『蟲神器』。
実は、私たちテオリアハウスクリニックの蟲神器部「白蟻専科蟲主の會」が、なんと開発元である大創出版さんと企業対抗戦を行いました!
その模様は蟲神器公式YouTubeチャンネルで公開中!
今回は、対抗戦に合わせて特別インタビューを敢行。『蟲神器』を生み出した大創出版社長の西田さん、そしてゲームデザイナーのNIZAさんに、誕生のきっかけや今後の展望についてお話を伺いました!
なぜ虫をテーマにしたカードゲームを?

まずは、どうして「虫」をテーマにしようと思ったのでしょうか?

これは完全に彼(NIZAさん)のアイデアですね。彼の提案で「虫でいこう」と決めました。

ダイソーの主な客層はファミリー層が多いんです。だから、大人と子どもが一緒に遊べるコンテンツにするには、虫というテーマがちょうどいいんじゃないかと思ったんです。

最初からファミリー層を意識していたんですね。

そうですね。ファミリー層が多いというところから、ダイソーのお客さまに合ったテーマを考えた結果だと思っています。


その中でも特に小学校高学年の男子をメインターゲットに考えていたのですが、リリース後はTCG(トレーディングカードゲーム)プレイヤーの方々にも響いて。今では20代前後の大人のプレイヤーもかなり多いですね。

よく都内の大会に出ますけど、確かに20代後半のプレイヤーがすごく多いと感じます。

でも、最近は小学生プレイヤーもすごく増えてきましたね。

小学生って本当に強いんですよね(笑)


普通に負けます(笑)。それに女性プレイヤーも意外と多い。

そうなんです。一般的にTCGプレイヤーのほとんどが男性なんですが、ありがたいことに蟲神器は女性にも支持されていますね。
カードに込めた世界観と「学び」

ここまで人気が出ると予想していましたか?

ダイソー初のTCGなので話題にはなると思っていました。デザイナーの原さんが世界観を、NIZAさんがゲームシステムを担当して、最初からしっかり作り込んでいたのも大きいですね。

最初から「蜜を吸う虫=青」「肉食の虫=赤」「草食の虫=緑」という3属性を設定して、三すくみのバトル構造にしようと決めていて。それに基づいて原さんに世界観を作ってもらい、「蟲神器」というタイトルや蟲主というキーワードを構築しました。

(写真)赤・青・緑の3属性に、現在は無色も加わる

そのあたりから、本当に楽しくなってきましたね。最初はビジネスとして進めていくこと自体が面白かったんですが、私自身TCGはこれが初めてで。
NIZAさんが最初に提案してくれた時、写真付きのサンプルカードを作ってきて、「これで対戦してみましょう」と言ってくれたんです。

ただ、最初は正直「これ、面白いのかな?」って半信半疑で。
でも、世界観がどんどん出来上がっていくにつれて、「これは面白いものになるかもしれない」って、どんどんワクワクしていきましたね。

あと、100円で買えるというお手軽さに合わせて、バトルも手軽に終わるようなTCGっていうのを目指していたんです。
普通、デッキは大体40枚50枚で組むんですけど、20枚で組めて、普通のTCGの半分以下の時間で終わるんですよね。この手軽なTCGというのを目指して作りました。

その頃はInstagramとかXとか、そういう短いコンテンツが流行っているような風潮があったので、それに合わせて蟲神器も受け入れられるのではないかなというのと、あとダイソーという売り場が“手軽さ”というテーマに合うんじゃないのかな、と。

確かに、手軽すぎて他のカードゲームに戻れなくなります(笑)

あと、教育的な要素も意識していました。蟲神器は虫の生態を学べる、イジンデン(※1)は歴史を学べる。もともと私が学び的なものにしたいという想いがあったので、「学び」を大切にした形でつくっていこうと。
※1:大創出版の第二弾TCG

イラストもリアルすぎず、でも生態が想像できて面白いですね。

そうですね。イラストもあんまりリアルすぎるとちょっと抵抗感がある方が増えてきたので。そこをちょっとクリーチャーっぽく、でも虫の個性はしっかり伝わるように描いてもらっています。


私が始めたきっかけというのが、元々虫が好きで飼育していて、蟲神器をコレクションするのが楽しくて買い始めたんですよね。
自分の周りにもコレクションだけしている人が結構いて。そういうユーザーも意識はされていたのですか?

それはもちろん意識していましたね。だからこそ下に生態系とかを監修付きで入れて並べてファイリングすれば図鑑としても楽しめるというところは考えていました。

私も虫が子供の時から好きで、色々な虫を飼ったりしてたことがあったので、虫好きの人がこのカードを見た時に「あ、カマキリだから共食いをするんだ」みたいなところでテンションが上がるだろうなってところとか、虫の生態をなるべくカードの効果に落とし込めるように、虫好きの方が割と納得できるような技を採用するように意識して今でも作ってます。
「シロアリ」は緑か?無色か?

もしも、シロアリのカードが出たとしたら、無色なのか緑色なのか論争があるんですけど、実際どうなんですか?

私は緑にしますね。カミキリムシ(※2)を緑にしているので、やっぱりそれを考えるとシロアリも緑にするのかなって思います。無色の方の意見というのは、どういったところで?
※2:カミキリムシの成虫は木の樹皮などを食べる

(写真)カミキリムシやキマワリは緑で収録されている

無色のオカダンゴムシが腐葉土を食べる、死んだ木や植物を食べるみたいな発想ですかね。

ダンゴムシは腐葉土も食べるけれども雑食性というところがあるんです。例えば、キリギリスとか虫も食べるし草も食べるみたいな虫も登場するんですけど、そういう時は主食がどっちなのかを考えて属性を決めてます。

シロアリは主食が腐った木、むしろそれしか食べないから、緑、ということになるのか。言われてみれば確かにそうですよね。

ところでシロアリのカードって出るの?(笑)


この機会に、前向きに検討します(笑)

ぜひお願いします…!
推しカードは?

皆さんそれぞれ推しのカードの虫はいますか?

私はニセハナマオウカマキリですよね。
やっぱりイラストが格好いいですし、「カマ連撃」と「共食い」という尖った技は、今の環境でもすごくシチュエーションごとに役に立つ技になっていて、いいところに収まったなと思っています。

初期の1弾カードはどれも絶妙。モンシロチョウ、モンキチョウを揃えても、ニセハナマオウカマキリが一掃してしまう(笑)

1弾で終わるかもしれないと思っていたので、1弾で終わってもいいように、自分が納得するようなものを作ったんですよね。その分本当に強いカードが1弾にいっぱいあって、それが今後の開発に結構悩ましいところがあります(笑)

絶対外せないカード、確かに1弾にたくさんありますね。

そういう意味で私はヘラクレスオオカブトかな。ずっと強いし、困った時に助けてくれる唯一無二の存在ですし。

(写真)現在もなお強豪蟲主に愛される2枚
目指すのは「日本中に広がる蟲神器」

今後、どんなユーザー層を広げていきたいですか?

やっぱり子どもたちにもっと遊んでもらいたいです。
体験会とかに行くと、親子がすごく仲良く蟲神器をやっていて、「今まで2人で遊ぶものがなかったけど、蟲神器ですごく仲良くなりました」とか、「計算が速くなった」とか、勉強にも繋がっているという声も多くて。

主となるところはファミリー層だと思っています。100円という手に取りやすさも大きな魅力なので、それを活かして広げていきたいですね。
私も交流会や大会に参加しますけれど、子どもとのコミュニケーションが増えたとか、ありがたいお話をたくさん聞くんですよね。蟲神器を通してすごくいいことをしているんだというのを感じるので、それは本当に嬉しいですね。


TCGって続くとどんどん複雑になっていく運命があるので、シンプルなゲーム性を保つのが私たちの使命だと思っています。

将来的には、どんなコンテンツにしていきたいですか?

これからも「学び」と「楽しさ」を両立したゲームを目指します。昆虫を好きになるきっかけになって、日本中の誰もが知っているカードゲームに育てていきたいです。

公認サポーター制度や昆虫館とのコラボなど、広がりを見せています。全国のファンと一緒に、蟲神器をもっと面白くしていきたいですね。

貴重なお時間をありがとうございました!
第6弾は夏頃発売!
2022年11月の発売開始から、これまでに第5弾まで登場してきた『蟲神器』。そしてこの夏、第6弾のブースターパックがリリース予定とのことです。
毎弾、新しい虫やカード効果が追加されるたびに、遊び方の幅が広がってきた本作。第6弾ではどんな虫が登場し、どんな戦術が生まれるのか。今から楽しみにしているファンも多いはずです。今後の展開にも目が離せませんね…!
大創出版さんとの企業対抗戦は下記リンクからご覧いただけます。
Related
関連記事
view all