鉄骨造、鉄筋コンクリート造の建物でもシロアリ被害⁉
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Researcher
- 田口 正訓
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研究員 2007年入社
埼玉営業所テクニカルチーム
大学では在来草本植物の研究に携わり、自然環境と生物の相互関係を学ぶ。 2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。 休日も生き物や植物の写真撮影に勤しむ。
interviewこの記事を書き始めたのは4月。4月は新社会人が入社する時期。弊社にも新人が入って来て、現在、研修を受けている最中。その姿をみて、あの頃が懐かしいと思う、今日このごろです。
今でこそ、白蟻専科の研究員として、シロアリについて記事を書く立場になりましたが、16年前、私が新人だった頃、白蟻は木を食べる害虫、日本にはヤマトシロアリとイエシロアリがいる事くらいしか知りませんでした。そして、白蟻が食べる住宅は、木造住宅のみだと思っていました。
しかし、いざ現場に出て、点検や工事の経験を重ねていくうちに、
鉄骨住宅の戸建て住宅も被害に遭う事がよくわかりました。
また、鉄筋コンクリート造の建物も被害に遭う事もわかりました。
被害に遭ったお客様宅で、お客様から、こんな声を聞いた事があります。
「新築で建物を購入したのですが、商談時、メーカーの営業担当者に、うちは鉄骨住宅だから、シロアリの被害は出ませんよと言われたの。」と。
おそらく、何十年も前の話なのですが、当時は鉄骨住宅=シロアリ被害とは無縁だという考えが当たり前だったのでしょうね。
現在、鉄骨住宅でもシロアリ被害が出る事がわかってきたので、予防工事や新築工事の必要性がハウスメーカーさんや、工務店さんに浸透してきましたので、施工のご依頼を頂いております。
以下、実例をまとめましたので、ご覧ください。
鉄骨住宅での被害実例とは…?
1.玄関
玄関にはタイル土間があり、それに框や巾木が隣接しています。私の経験ですと、鉄骨住宅で一番被害が多いのは、玄関の框、巾木だと思います。
ここは地面からの距離が非常に近い場所です。玄関土間はコンクリートが打設されていますが、その下は土や砂利になっており、そこからシロアリが直に侵入して、框や巾木を食害していく事があるのです。
2.和室
建物本体が木造でも鉄骨でも、和室の構造、内装材は何ら変わりません。敷居、化粧柱、畳寄せ、床等、木材が多く使用されています。木材はもちろんの事、時には畳も被害に遭う事があります。
3.浴室
浴室はどうでしょうか?先月、浴室の被害について書きましたが、鉄骨住宅にも当然、在来浴室の物件が存在します。実際、羽アリが発生した鉄骨住宅の浴室駆除に何件もうかがいました。浴室は湿気が多いので、鉄骨住宅でも、浴室入口の額縁や、窓枠、床下側の土台等に被害が発生します。
以上が私が経験した、鉄骨住宅での被害実例です。これ以外にも、土間コンクリートの基礎クラックから蟻道が侵入していたケースや、押し入れの中の段ボールが食害に遭っていたケースもありました。
そしてつい最近、鉄筋コンクリート造の建物で天井の廻り縁被害の物件に行きました。
シロアリ被害に遭った鉄骨住宅。地震が来た場合は…。
では、鉄骨住宅や鉄筋コンクリート造の建物で、シロアリの被害に遭った場合、地震があった場合はどうなるのでしょうか?
構造躯体が鉄骨なので、木造住宅と異なり、鉄骨住宅で被害に遭っても、建物の強度に影響を及ぼす事はないです。さすがのシロアリも、鉄骨そのものを食べる事はないからです。しかし、鉄骨住宅でも、床下の土台、大引、根太材が木造住宅と同様に、木材である物件も数多く存在します。そうした物件でシロアリ被害に遭った場合、床材の強度が落ちて、地震の揺れや家具等の加重で撓んだり、変形したり、極端な話、床が抜ける可能性もあります。
鉄骨住宅でも、シロアリ被害とは無関係ではいられない事が伝わったでしょうか?長年放置し、被害が進行すればするほど、大工さんに依頼しての修繕費用が高くついてしまいます。鉄骨住宅、鉄筋コンクリート造の建物でも、定期的にシロアリ予防工事を行う事が必要なのです。
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