シロアリが出にくい地域や土地・物件の選び方10選
- シロアリ駆除
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Researcher
- 木村 健人
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研究員 2009年入社
経営企画部webマーケティング課専任課長
シロアリ・木材腐朽菌に対する防蟻・防腐薬剤性能評価、木材保存について在学中に携わる。 2009年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。趣味はシロアリ飼育。
interview「建てた家にシロアリが出たらどうしよう」
「以前住んでいた家にシロアリが出たから新しい家には出てほしくない」
そういったときに重要になるのが、シロアリが出にくい土地選びです。この記事では、土地や物件を選ぶときのポイントについて、シロアリの生息に関する視点から解説します。
土地選び、お家選びを左右するシロアリの性質
シロアリが出にくい家を選ぶには、はじめに彼らが好む場所や生態に関する性質を把握することが肝心です。まずは彼らの行動心理を見てみましょう。
湿気を好む=乾燥を嫌う
日本に住むシロアリのほとんどは水分が大好きです。ジメジメした環境を好みます。つまり、乾燥している場所や水はけのいい場所を選ぶことが前提条件として大切になってきます。
暖かさを好む=寒さを嫌う
シロアリは元来温暖な気候を好む昆虫です。日本はシロアリの生息地の北限でもあり、地域によってシロアリの活性が大きく異なります。
木を食べる=木材に集まる
皆さんもご存知のとおりシロアリは家の木材を食い荒らす害虫です。自然界でも枯死した樹木を食べて暮らしています。自然界でのシロアリは枯れ木を土に還す物質循環に大きく貢献している生き物です。
羽アリは飛んで移動する
土の中を移動するイメージが強いシロアリですが、羽アリになると空を飛びます。種類によっては外灯に集まったり、直接家に侵入するシロアリも。この特性はよく理解しておく必要があります。
シロアリが出にくい地域や物件の選び方10選
上記の性質を理解した上で、ここからはシロアリが出にくい物件の選び方を解説します。ここでお話する選び方は、大きな括りのものから身近な部分まで様々です。極論を含むため全てを当てはめることは困難ですが、10個の中からより多く該当する物件を探してみましょう!
1.温暖な地域を選ばない(イエシロアリの生息地を選ばない)
沖縄から北海道まで生息するシロアリですが、それでもやっぱり温暖な気候が大好きです。暖かい地域では活動する期間が長く、活性も高くなります。
海岸沿いは特に注意が必要で、世界の侵略的外来種ワースト100に数えられるイエシロアリが生息する関東以南ではそのリスクが常に付きまといます。残酷ですが温暖な地域に住むならシロアリ被害は付き物だと考えておくべきです。
2.自然度の低い場所を選ぶ
死んだ樹木を土に還すシロアリにとって、自然度の高さと生息密度は比例します。都会よりも地方、地方よりも森の中のペンションのほうが、シロアリ被害の確率は高くなると考えることができます。
首都圏の住宅街や大都市であっても普通にシロアリは生息していますが、その確率を少しでも下げるなら自然が少ない場所、つまり都会の住宅街を選ぶとシロアリのリスクを下げることに繋がります。
3.標高が高い場所を選ぶ
日本は森林大国ですが、その多くは標高1000mから3000m級の山地です。先ほどは自然度の高さがシロアリの生息に比例するとお話しましたが、標高を上げればシロアリは少なくなります。
標高が100m上がるごとに気温は0.6℃下がると言われ、高い場所ほどシロアリの生息に適さなくなるためです。しかしながら筆者自身、標高1000mを超える山地でもヤマトシロアリの生息を確認しているため、シロアリが全く居なくなるという訳ではありません。
長野県の資料では、標高1200m付近までヤマトシロアリが生息すると指摘しており、また、(公社)日本しろあり対策協会では標高1160mの三瓶山(島根県)での繁殖報告があります。
まとめると、1000m級の場所であればシロアリ被害を受けないという絶対的な条件にはならないものの、標高を上げることでシロアリに適さない環境へと近づいていくのは間違いありません。
4.付近に公園や神社がない場所を選ぶ
自然が少なくても、都会には公園や神社などがいくつもあります。そういった場所にはシロアリが多く生息しているはずです。
同様に、鬱蒼としたお庭の家が近くにあったり、学校など樹木が多くあるような場所の近くはリスクが高くなります。
5.近隣に木製品を多用したお庭がある家が無いか
仮に近隣に樹木が無かったとしても、枕木やウッドフェンスなどを多用したお庭がある場合は要注意です。シロアリがそこに住み着いている可能性が高いからです。
シロアリは木を餌にする昆虫ですから、仮に樹木が無くても木材や木質製品がふんだんに使用された環境があれば住み着く可能性があります。
6.古い住宅密集地を選ばない
古くからの住宅地の場合、そこに建っている家も古い場合が多いです。築25年以上の住宅の20%ほどがシロアリ被害を受けているというデータがあるように、古い家にはシロアリが付いている可能性があります。
7.新規分譲地にも要注意
新規の分譲地にも注意が必要です。具体的には、雑木林を切り開いた土地やニュータウンなどです。これらの場所には元々シロアリが多くいた環境のため、土の中に生息するシロアリがその上に建てられた家に侵入するリスクがあります。
あらかじめその土地が元々どんな場所だったかを調べておくと安心です。
8.川沿い、低地ではない
湿気を好むシロアリが多い場所の代表は川沿いや沢沿いです。また、水分が溜まりやすい窪地や低地も危険です。
場所を把握する方法の一例として、各自治体が公表している水害ハザードマップを見てみる方法があります。浸水の可能性がある場所は水が溜まりやすかったり川が近くを流れています。
水害の危険性がない土地を選ぶことが結果としてシロアリが出にくい物件選びにつながる可能性もあるのです。
また、川、沢、谷、河、水、浦、池、浜などの水に関する地名についても過去に水害などがあったことを示す場合があるため、よく確認しておきましょう。
9.アメリカカンザイシロアリの生息エリアを除外する
外来種のアメリカカンザイシロアリが全国各所で見つかっています。定着している場所は局所的ですが、土地選びではその場所を必ず避けることが大切です。
このシロアリは羽アリが直接木材に穴を開けて侵入するため、自然度や水分など関係なく生息する特徴を持ちます。事実として住宅街を中心に生息を拡大しているため、付近でアメリカカンザイシロアリの情報が無いか確認しておきましょう。
具体的には、自治体の名前で検索(「アメリカカンザイシロアリ 〇〇市」など)したり、役所に問合せて確認をとるなどの方法があります。
10.水銀灯、蛍光灯など夜間照明が付近にない
昆虫が集まる街灯の付近を避けることも大切です。最近では昆虫が集まりにくいLED化が進んできましたが、蛍光灯や水銀灯などのままの夜間照明もまだ多くあります。
街灯に集まるシロアリの羽アリはイエシロアリで、飛んできた羽アリがその付近に巣を作っている可能性が高まります。これはイエシロアリが生息する関東以西に限った話ですが、昆虫が多く集まる街灯が近くにあるとゴキブリなど他の害虫も引き寄せる要因ともなりますので気にかけておいても良いかもしれません。
チェックシート
今回解説した10項目すべてを満たすことができればシロアリ被害にあう可能性を大きくさげることができます。しかし、実際のところは難しい、というのが正直なところかもしれません。
仮に10個全てを満たせなかったとしても、5個以上チェックできればシロアリの出にくさ的には非常に良い土地です。また、満たせない部分があっても、それをその土地の弱点だと予め捉えておくだけで十分シロアリ被害の抑止力になります。
シロアリが出にくい土地の選び方チェックシート
□温暖な地域を選ばない
□自然度の低い場所を選ぶ
□標高が高い場所を選ぶ
□付近に公園や神社がないか
□近隣に木製品を多用したお庭がある家が無いか
□古い住宅密集地を選ばない
□新規分譲地にも要注意
□川沿い、低地ではない
□アメリカカンザイシロアリの生息エリアを除外する
□水銀灯、蛍光灯など夜間照明が付近にない
最後に、仮にこれらのポイントを参考に選んだとしても、絶対にシロアリが出ないとは言い切れません。万全を期すためには、定期的に対策することが重要です。
- シロアリの予防処理を定期的におこなう
- 餌となる廃材などは処分する
- ジメジメした環境を作らない
こういった対策はすべての家に対して有効ですので、「シロアリが出にくい家」から「シロアリが出ない家」になるように対策を施していきましょう!
参考文献等
国土交通省補助事業シロアリ被害実態調査報告書(2013)
環境省生物多様性センター
長野県ヤマトシロアリの生態と防除
(公社)日本しろあり対策協会 シロアリ情報-中国エリア編-
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