【被害事例】想定外?天井裏からシロアリに喰われる

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Researcher

研究者プロフィール
田口 正訓

研究員 2007年入社

埼玉営業所テクニカルチーム

大学では在来草本植物の研究に携わり、自然環境と生物の相互関係を学ぶ。 2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。数千件のシロアリ調査および駆除工事に従事。 休日も生き物や植物の写真撮影に勤しむ。

interview

木材に沿って、ヤマトシロアリの蟻道が付着しています。

こちらの写真、床下ではなく、全て天井裏の写真なんです。

築年数20数年の平屋。木造住宅です。

シロアリ=床下の被害というのが通例ですが、こちらの物件、床下に食害はありません。

床下を無視して天井裏?

ではなぜこのようなことに?空から侵入して直接、天井裏に潜り込んだのでしょうか?

答えは建物の外側にあった

こちらの物件で採用されているのは基礎外断熱工法です。

基礎外断熱工法とは、基礎の外側に高気密の断熱材を貼り付ける事で、外気温の変化に影響されにくく、建物の省エネ、冷暖房の効率的を図る事が出来る工法です。

しかし、その断熱材がシロアリ侵入の原因になっています。

以前、ポリスチレンフォームの蟻害についてリポートした事がありましたが、断熱施工で使用されている断熱材=ポリスチレンフォームはシロアリの侵入を許してしまうのです。

土の中に白っぽい粒子が混ざっています。これは、断熱材を崩して蟻道の材料として利用しているのです。

こちらは別の物件ですが、基礎外断熱の中から侵入していた事例です。断熱材をカットすると蟻道が確認されました。

対処方法

通常の薬剤施工とベイト施工の併用です。

既に建物内に侵入したシロアリに対しては、床下と天井裏に入り薬剤施工で対処しましたが、天井裏の施工が難儀でした。

まず、天井裏を隅々まで点検・確認し、被害の全容を把握しなければなりません。

続いて、被害に対して、一つ一つもれなく薬剤を注入していきます。

薬剤の使用量が難しい。多量に使用すると室内に薬剤が染み出してしまうので調整しつつ駆除を行う。

しかし、薬剤を多量に使用すると天井から薬剤が染み出し、雨漏れみたいになってしまいます。シロアリを確実に駆除しつつも、室内を薬剤で汚さないよう、配慮しなければならないのです。

血管のような蟻道に直接、ノズルを差し込む。

さらに、断熱材の中でも蟻道を確認しており、厄介です。

木材であれば、ドリルで食害された部位に穴を開ければ、ノズルを差し込むと深層まで薬剤が入り込みますが、断熱材ではそうもいきません。

そこで、断熱材に入り込んだ蟻道に直接、ノズルを差し込み、薬剤を注入しました。

すると蟻道の中はトンネル状で繋がっているので、血管のように張り巡らされた蟻道に薬剤が浸透していくのが目視できました。

床下側にも蟻道を確認出来ましたが、土台・大引などの食害はありませんでした。

建物内のシロアリを駆除しても、外基礎断熱がある限り、再び外部からの侵入を許してしまう可能性が高いです。その為、再び侵入しないよう、建物の外周にベイト施工を行いました。

建物のお庭に設置したベイト剤

ベイト施工は外周に毒餌が入った専用の容器を設置する事で、餌に喰いついたシロアリが巣を行き来する事で、シロアリを根絶する工法です。今後はベイト施工を継続する事で被害を防止していきます。

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