一年を締めくくる晩秋の風物詩、その名はサクラアリ
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Researcher
- 橋本 実樹
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研究員 2007年入社
DX 推進室 専任課長
埼玉県で初のクマゼミの採集実績あり。大学では昆虫類、主にセミ類の分布調査に携わる。 2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。熱海起雲閣で床下ロボット調査、代々木能舞台や国際子ども図書館の駆除など経験。 趣味はハチや魚類の採集、飼育。
interview今年もサクラアリの季節がやってきた!
2025年10月中旬の、ある休日の晴れた朝。
私は布団の中でぬくぬくとしたひとときの幸福を味わっていたところ、突然の悲鳴が。
娘:パパ! 窓に羽アリがたくさん出てる!なんとかして!
さあ今年も、晩秋の風物詩「サクラアリの羽アリ」がやってきました。

私:大丈夫、害はないから放っておきなさい
今回は、ああ今年ももう終わるんだなあと、そんな切ない想いとともに、
サクラアリについて、私なりの考察を書いていきます。
サクラアリとは ~特徴・名前の由来~
学名:Paratrechina sakurae
サクラアリはアリの一種です。
シロアリとは異なり、いわゆる「クロアリ」でありますが、よく見ると黒くはなく茶褐色の体色が特徴です。アリの中でも小型種で、最大である女王アリでも体長5mm程度です。

サクラアリの女王(上)と雄アリ(下)

名前の由来は色が黒より薄いからサクラアリと思われがちですが、実は命名者の娘さんの名前だそうです。
よく見たらこのアリ自体に「桜」っぽさなど皆無ですが、
学名に「sakura」が入っているだけで素敵に見えてしまうのは、私だけではないでしょう。
本来は屋外性のアリですが、近年は住宅での発生が多くなっていると聞きます。
ただ、我々は問い合わせを受けてのケースが多いので
サクラアリ=建物内に発生というイメージしか湧かないのが正直なところです。
10月初旬ならキイロシリアゲアリなどの可能性もありますが、10月中旬以降の羽アリは、ほぼ本種かより屋外性のトフシアリと言っても良いでしょう。家屋から発生する場合は殆どサクラアリです。
サクラアリの被害
このサクラアリ、結婚飛行の時期に室内に大量発生するので不快害虫となりますが、
床と壁の隙間などからワサワサと発生し、シロアリが発生する構図にも近いものがあるので、シロアリではないかと不安に感じてお問い合わせいただくことも多いアリです。
サクラアリはシロアリとは違い、建材への被害はないので、「その点は」ご安心ください。
サクラアリの駆除は難しい?
他のアリと比較した場合ですが、サクラアリの駆除に関しては、他のアリと比べると経験上難しい事が多いです(もちろん状況によります)
私も10年以上前に経験ありますが、アパートの棟をまたいで広範囲に発生し、それが何年も続くような案件もありました。
あとは毒餌剤はコロニー単位で作用するため、カンザイシロアリ類のように複数コロニーが狭い範囲に独立して存在したら駆除が難航する可能性は高いです。(※カンザイシロアリ類は単女王ではありません)
ただし、そのような難現場でも時期をすぎるとパッタリでなくなるのが、羽アリの不思議です。
結婚飛行フェーズと通常営業では行動範囲が明らかに違うんですよね。
まあ、結婚飛行はアリのお祭りですから、そう思えば人間も然りではありますが。
なお、スプレータイプの殺虫剤はアリの嫌がる成分が含まれており残存するアリを散らすだけなので根絶を難しくします。本種だけじゃないですが、アリ駆除に基本的にスプレーは向きません。
スプレーダメ、ゼッタイとは言いませんが、羽アリを直接殺す以外にはほぼ意味がありません。
なお、羽アリに関しては掃除機で吸うのが一番クリーンな駆除です。
おすすめはアリの巣コロリに代表されるような市販の毒餌剤ですが、羽アリがいるとハードル高くなるんですよね。
その理由が
・羽アリは餌を食べないのでそもそも効かない(働きアリのみ)
・羽アリの護衛のために一緒にいるだけので、そもそも餌への興味が低い(のではと推測)
・サクラアリの食の好みが偏っている
さらにサクラアリは一般的な毒餌剤を好まないのが駆除は難しい理由の一つですが、アリメツというホームセンター等で手に入る毒餌剤(有効成分:ホウ酸)で喫食性が高いのを確認しています。
サクラアリの飼育?
なお主観ですがこのサクラアリ、過去の記事で書いたキイロシリアゲアリとは異なり飼育に向くとは言い難いです。
その理由が
・単雌:コロニーを単独女王で創設するため、女王アリが複数いるとけんかする
・小さくて脱走しやすい
・小さくて老眼だと見にくい
・・・というわけで個人的には多雌(多女王)飼育が可能で扱いやすく、入手もしやすい「キイシリ」ことキイロシリアゲアリをオススメいたします。
最後に所感
今年(2025年)の夏は例年にもまして猛暑でありましたが、サクラアリに関しては異常気象の影響は特に感じられず、出だしは例年と変わらない様子で10月中旬くらいからピークを迎えているようです。
暖秋だと群飛時期が長くなり、12月まで群飛することもあるそうなので、今後の動向に注目です。
2ヶ月間晴れの日にずっと出続けるのも考えものではありますが、
虫に対して自然体を貫く私は、駆除しないで放置する為に家族には白い目で見られております。
なお、我が家のサクラアリ場合、室内に出るのはほぼ雄で、雌は何故かほとんど見当たりません。
おそらく殿方用のヴァージンロードが我が家の和室に通じているのかと思われますが、真相は不明です。
来年は屋外で飛んでいるはずの雌の群飛も見届けて、飼育用に女王確保をしようかと思っております。
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